ギルドスレッド
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待ち惚けの館
言うことを聞かないチェレンチィに対し、苛立ちを隠しきれず歯ぎしりをする。
震える手で握っていた狙撃銃の照準が、少しだけズレた。ほんの数センチ、それだけでも弾が外れるには十分だ。
「アンタに拒否権は無い。
俺がアンタの言葉を信じる根拠も、道理もない。
アンタが素早さにおいて一つ抜けてるのは認めるが、アンタの素早さも俺には敵わない」
その様子は、確かにチェレンチィの言葉で揺れていた。
片手で構える狙撃銃の反対の腕――集中力を切らしギフトの幻が消えたそれは、何も通っていない袖が風でなびく。
「…………」
膠着状態が続く。
少なくとも、今の彼が自分からその銃を下ろす選択肢は無いように見える。
震える手で握っていた狙撃銃の照準が、少しだけズレた。ほんの数センチ、それだけでも弾が外れるには十分だ。
「アンタに拒否権は無い。
俺がアンタの言葉を信じる根拠も、道理もない。
アンタが素早さにおいて一つ抜けてるのは認めるが、アンタの素早さも俺には敵わない」
その様子は、確かにチェレンチィの言葉で揺れていた。
片手で構える狙撃銃の反対の腕――集中力を切らしギフトの幻が消えたそれは、何も通っていない袖が風でなびく。
「…………」
膠着状態が続く。
少なくとも、今の彼が自分からその銃を下ろす選択肢は無いように見える。
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●山賊の捕縛依頼
ローレット・ギルドの依頼というのは、甚く不思議なものだ。
召喚されるまで、或いはギルドへ所属するまでは犯罪として定められ、破れば監獄島へ島流しされてしまうことさえ、時に依頼として舞い降り、ローレットの名のもとに公的な仕事になる。
「ええ、こちらの山賊たちの捕縛、首だけでも構いません。
この者たちはあまりにも、罪のない人々を殺して、奪いすぎました」
ギルドの職員が、依頼の紙を持ったチェレンチィに説明する。
幻想の端、広大な森へ身を潜めた、名の売れていない山賊の捕縛依頼。捕縛といっても、首さえ持ち帰れば殺しても良い。
山賊は人数も少なく、一般市民だけを相手にする弱小者ばかりであった為に、通常の八人編成で行われる依頼へは発展せず、その場へ居合わせたチェレンチィのみへ依頼された、ちょっと特殊な依頼だ。
「良いですよ。でも、山賊たちの命には期待しないで下さいね」
前金を受け取ったチェレンチィは、ギルドの受け付けを背に、地図に記された幻想の森へと向かった。
まさか、そこに山賊以上の面倒事が向かっていることも知らずに……。