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待ち惚けの館
山賊をKOさせるには、余りある一撃を放ったつもりだった。
それなのに、左足で放ったそれは相手の左腕で防がれ、確かな手ごたえとダメージを与えた感覚はあったが、決定的な一撃にはどうも届かない。
「チッ、嫌なこと思い出させやがる……」
そういえば、あの時も邪魔が入った。
絶対的な悪である山賊を庇った、同志でもある筈のイレギュラーズの存在。
アルヴァは苛立った表情で舌打ちを一つ漏らすと、自分の攻撃を一度はガードしたチェレンチィに対し、そのまま大きく右足を振り上げ、容赦のない踵落としを喰らわせようとする。
それなのに、左足で放ったそれは相手の左腕で防がれ、確かな手ごたえとダメージを与えた感覚はあったが、決定的な一撃にはどうも届かない。
「チッ、嫌なこと思い出させやがる……」
そういえば、あの時も邪魔が入った。
絶対的な悪である山賊を庇った、同志でもある筈のイレギュラーズの存在。
アルヴァは苛立った表情で舌打ちを一つ漏らすと、自分の攻撃を一度はガードしたチェレンチィに対し、そのまま大きく右足を振り上げ、容赦のない踵落としを喰らわせようとする。
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●山賊の捕縛依頼
ローレット・ギルドの依頼というのは、甚く不思議なものだ。
召喚されるまで、或いはギルドへ所属するまでは犯罪として定められ、破れば監獄島へ島流しされてしまうことさえ、時に依頼として舞い降り、ローレットの名のもとに公的な仕事になる。
「ええ、こちらの山賊たちの捕縛、首だけでも構いません。
この者たちはあまりにも、罪のない人々を殺して、奪いすぎました」
ギルドの職員が、依頼の紙を持ったチェレンチィに説明する。
幻想の端、広大な森へ身を潜めた、名の売れていない山賊の捕縛依頼。捕縛といっても、首さえ持ち帰れば殺しても良い。
山賊は人数も少なく、一般市民だけを相手にする弱小者ばかりであった為に、通常の八人編成で行われる依頼へは発展せず、その場へ居合わせたチェレンチィのみへ依頼された、ちょっと特殊な依頼だ。
「良いですよ。でも、山賊たちの命には期待しないで下さいね」
前金を受け取ったチェレンチィは、ギルドの受け付けを背に、地図に記された幻想の森へと向かった。
まさか、そこに山賊以上の面倒事が向かっていることも知らずに……。