ギルドスレッド
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待ち惚けの館
脅しても一向に出てこない様子に、多少の苛付きを感じつつ、更に前へ進む。
目前で隠れているのが、未熟でひ弱な山賊だと疑いもしないアルヴァは、若干呆れた表情で溜め息を吐くと、聴こえるように呟いた。
「無視、か……。大人しく出てきた方が身のためだと思うが、仕方ないか」
パキッ、パキッ、……彼が近付く足音が鳴り止んだ。
一瞬、諦めたのかと疑いたくなる静寂は、短くとも永く感じるだろう。
刹那――留まっていた筈のアルヴァは消えた。少なくとも、再度様子を見ようとするのなら、消えた様に見えただろう。
「――動くな」
絶対的な自信の理由、身に纏う風を置き去りに程の移動は、瞬く間に物陰へ隠れたチェレンチィの背後に迫り、片手で持った狙撃銃を彼の背中に向けようとする。
そして驚いた。山賊と思っていた後姿が、余りにも小さすぎたからだ。
これじゃあ、まるで子供に銃口を向けているみたいではないかと、アルヴァは少し戸惑った瞳をしていた。
目前で隠れているのが、未熟でひ弱な山賊だと疑いもしないアルヴァは、若干呆れた表情で溜め息を吐くと、聴こえるように呟いた。
「無視、か……。大人しく出てきた方が身のためだと思うが、仕方ないか」
パキッ、パキッ、……彼が近付く足音が鳴り止んだ。
一瞬、諦めたのかと疑いたくなる静寂は、短くとも永く感じるだろう。
刹那――留まっていた筈のアルヴァは消えた。少なくとも、再度様子を見ようとするのなら、消えた様に見えただろう。
「――動くな」
絶対的な自信の理由、身に纏う風を置き去りに程の移動は、瞬く間に物陰へ隠れたチェレンチィの背後に迫り、片手で持った狙撃銃を彼の背中に向けようとする。
そして驚いた。山賊と思っていた後姿が、余りにも小さすぎたからだ。
これじゃあ、まるで子供に銃口を向けているみたいではないかと、アルヴァは少し戸惑った瞳をしていた。
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●山賊の捕縛依頼
ローレット・ギルドの依頼というのは、甚く不思議なものだ。
召喚されるまで、或いはギルドへ所属するまでは犯罪として定められ、破れば監獄島へ島流しされてしまうことさえ、時に依頼として舞い降り、ローレットの名のもとに公的な仕事になる。
「ええ、こちらの山賊たちの捕縛、首だけでも構いません。
この者たちはあまりにも、罪のない人々を殺して、奪いすぎました」
ギルドの職員が、依頼の紙を持ったチェレンチィに説明する。
幻想の端、広大な森へ身を潜めた、名の売れていない山賊の捕縛依頼。捕縛といっても、首さえ持ち帰れば殺しても良い。
山賊は人数も少なく、一般市民だけを相手にする弱小者ばかりであった為に、通常の八人編成で行われる依頼へは発展せず、その場へ居合わせたチェレンチィのみへ依頼された、ちょっと特殊な依頼だ。
「良いですよ。でも、山賊たちの命には期待しないで下さいね」
前金を受け取ったチェレンチィは、ギルドの受け付けを背に、地図に記された幻想の森へと向かった。
まさか、そこに山賊以上の面倒事が向かっていることも知らずに……。