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待ち惚けの館

【来客RP】暗殺者と義賊

来客:チェレンチィ

●山賊の捕縛依頼
 ローレット・ギルドの依頼というのは、甚く不思議なものだ。
 召喚されるまで、或いはギルドへ所属するまでは犯罪として定められ、破れば監獄島へ島流しされてしまうことさえ、時に依頼として舞い降り、ローレットの名のもとに公的な仕事になる。

「ええ、こちらの山賊たちの捕縛、首だけでも構いません。
 この者たちはあまりにも、罪のない人々を殺して、奪いすぎました」

 ギルドの職員が、依頼の紙を持ったチェレンチィに説明する。
 幻想の端、広大な森へ身を潜めた、名の売れていない山賊の捕縛依頼。捕縛といっても、首さえ持ち帰れば殺しても良い。
 山賊は人数も少なく、一般市民だけを相手にする弱小者ばかりであった為に、通常の八人編成で行われる依頼へは発展せず、その場へ居合わせたチェレンチィのみへ依頼された、ちょっと特殊な依頼だ。

「良いですよ。でも、山賊たちの命には期待しないで下さいね」

 前金を受け取ったチェレンチィは、ギルドの受け付けを背に、地図に記された幻想の森へと向かった。
 まさか、そこに山賊以上の面倒事が向かっていることも知らずに……。

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(サッと身を隠し、不味った、とでも言いたげな表情を微かに浮かべる。傍にある、風穴の開いた木をちらりと見据え)
(もう少しこちらに照準がずれていたら、ああなったのは自分――否、きっと態と外したのだろうと想像する)
(何の為に? ……お前の居場所なぞお見通しだと「分からせる」為に!)

「(……どうやら今日は運が悪い日みたいですねぇ)」
「(しかし……商人から、盗んだ? ……ああ。仲間だと思われていると、そういう事か)」

(こちらの位置は相手にばれている。ゆっくり近付いてくるということは、自分が逃げても追い付く自信があるという事なのだろう)
(ならば、相まみえて誤解を解くしかない。聞く耳を持たないようなら、何としてでも相手を動けなくしてその隙に逃げるしかない)
(自分も、相手にも、痛い目を見る/見させる覚悟を決め、息も気配も完全に殺して、最接近のその時を待つ)

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