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ギルドスレッド

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待ち惚けの館

アルヴァの個人部屋

アルヴァが普段過ごしている部屋。
窓からは森の木々が見え、いつも湿っぽい。

本が詰まった本棚や寝るためのベッドなど、特に珍しいものは置いていない。

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「包帯はもう必要無さそうだな」
 右腕に巻かれた包帯を口で外しながら傷の具合を確かめる。
 パンドラによる強靭な生命力の賜物か、黄色く膿んでいた傷口はすっかり塞がり、傷跡こそ残ってしまったものの、ほぼ完治に近い具合だった。
 以前ピンク髪の少女――カルウェット・コーラスが来た時、ズキズキ痛む右腕を誤魔化すのは苦労した。彼女に非は無いにしろ、貴族が隠れ家に利用していたこの館へ突然の来訪があるとは思わなかったのだ。

「カルウェット・コーラス。秘宝種だったのか」
 ああは接したものの、義賊に身を窶したアルヴァは人間不信にも近い用心深さでいた。
 ローレット・ギルドから取り寄せた数枚の洋紙には、先日来訪したカルウェット・コーラスの情報が載っており、彼女のプロフィールから活躍まで事細かに記載されていた。
 例え少女の姿をしていたとしても、この前の奴みたいに対立し戦闘になり得る可能性があるのならば、もし敵に回った際の自分との戦力差、対処法を考えておく必要があるからだ。

 ――既に穢れた手前、『信じる』なんて綺麗ごとは言ってられない。

「よかった、可能性は限りなく低いタイプだ――」
 資料を全て見て、アルヴァは一先ず安堵にも思える溜息と共にそう呟いた。
 結論、カルウェット・コーラスはイレギュラーズの秘宝種であることを除けばごく普通の少女だった。種族の関係上それを少女と呼ぶかはわからないが、目覚めてそう経たない、よく言えば純粋な、悪く言えば世間知らずな女の子だ。
 直後、自分が安堵していることに気付いたアルヴァは、首を横にブンブン振る。
「何安心してんだ、俺……」
 未だに無駄な争いは避けたいと思う気持ち、今は薄れつつあるその感情に複雑な表情を浮かべる。
 過去との親近感。義理の妹であるリトル・ドゥを想えば、二の轍を踏まぬ様、彼女とは適切な距離を置こうと考えるのが至極当然なのだ。

「見られちまうわけにはいかないから、な――」
 もし本当の自分を見られて、怖がらせてしまわないように。
 或いは、己の決意が揺らぐような事態を起こさないように……。


【番外『血塗れの右腕を隠して』】
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