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『カドー・デュ・ソレイユ』

三周年記念SS『タイトル考えてない』


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少女の知らない世界。この空中庭園から、遥か下界の、見たことのない物。
春に咲く淡い花の景色、夏の青と白の水景色、秋の人が姿を変える景色、冬の御伽噺を彩る白の景色。
たった一人の少女を連れ出そうと、少ない語彙で語ってきたあの日々。
だがそれは、到底果たせる訳がなかった。己が神託を受け、神託を告げ、神託を示す役割である以上、いつか来る滅びの為にここを離れる……縛られなくてはならないのだから。
(でも……)
あの頃とはもう違う。大量に呼ばれたあの日から日々増え続ける、特異運命座標達。遂に現れた魔種達。満ち続ける絡繰仕掛けの滅びに抗う箱の中。
そして、今や冠位を戴く7体の魔種も、2体が、選ばれし者達の手によって斃された。
着実に変わりつつある状況に、決して叶うことないと諦めていた言葉が、記憶の奥底から、日を重ねるごとに少しずつ浮かび上がる。
───ざんげ、今日こそは降りてきて貰うからな───
「レオン……」
───混沌中の特異運命座標を集めて、オマエの言う『パンドラ』をかき集めてやる───
脳裏をよぎる記憶。悠久の時を生きるざんげにとっては近くとも、遠く、決して叶わなくて、しかし、ずっと刺さっていた言葉。
───それで、終焉だか終局だかが出てきたらそいつを一撃でぶっ飛ばして───
「このまま、世界が変わっていけたら───」
───オマエが泣こうと喚こうと空中神殿から引っぺがしてやる───
「私がいつか、ここを離れられる日もくるんでごぜーましょうか」

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