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『カドー・デュ・ソレイユ』

三周年記念SS『タイトル考えてない』


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「また腰を悪くするでごぜーますよ」
隣で、長い黒髪が揺れる。レオンがどれだけ年月を重ねても、どれだけ傷を増やしても、少年から大人になった今も変わらない、黒の中に薄く、しかし鮮明に映る白い面立ち。
罪の告白と同じ名を持つ神託の少女が、そこにいる。
「今日はお早いお目覚めでごぜーますね」
「最近は楽ばっかりしてたからな」
顔を向けるまでもなくかわす言葉はあまりにも軽い。決して事実ではなく、嘘でもない。いつだってレオンに襲い掛かる日々は難しかない。戦士として、何事もなく過ぎた全盛期、いつか来る襲来に備えたった二人から始めたギルドの運営、魔種との闘い、国家間の諍い、依頼、戦い。その全てを実際にこなしてきたのは、他でもない滅びに抗う力のある『特別な者』。
どんなに手を尽くしても『選ばれていない者』と決まってしまったあの日から、レオンはいつだって、己自身の力で、少女の力になれたことが無い。
「それで、今日のご用事はなんでごぜーますか」
「あ?そんなもんねぇよ、ただ来たかったから来た」
隣の女、ざんげに目もくれず、口先だけの軽い言葉を投げる。
しばらくの沈黙に、ようやくレオンは隣の少女の顔を見た。彫刻の様に美しい顔は常に動きが少ない。だが、付き合いの長い、四半世紀を超える時から出会っていた彼は、その微細な表情に込められた感情に、鼻を鳴らして噴出した。
「なんだよオマエ、俺がただここに来るのがそんなに不満かよ」
「ここに大人は用も無く来ねーといったのは、レオンでごぜーますよ」
「忘れたね、一年前の事は。それとも、土産の一つでも持ってきた方がよかったかい?」
「横流し品はいらねーです。どーせ特異運命座標の皆さんから貰ったのが余ってるんでごぜーましょう?」
「お、わかってんじゃん、偉いねぇ」
からかいの言葉にざんげは嘆息する。何でもない時はいつだって、昔から、この男はこうやって中身のない言葉と上から目線で言葉を紡ぐのだ。まるで、何も知らない子供に教えるかのように。

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