であります。

鳳圏。
……軍で何度か名を聞きましたな。
まさかローレットしての依頼でその名を聞くことになるとは。

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栄龍様と供に西部へ潜入。
撤収他全員共同しての行動についての合図はコウ嬢の手法に準拠。
潜入方法は、自分は特に見た目は変えず。背広の栄龍様に付き従って、騎士（メイド）ならぬメイドと洒落込みましょう。

まず気にするのは、住人の顔。
端的に占領地の暮らしぶりというのは、その国が何を目的に侵略戦争を行っているかの指標となるであります。
民を肥えさせるならば、懐柔を。絞るならば服従を。
……あるいは、そうでないとしたら。

商人としての潜入であれば、物品の需要にも目を付けておきたいでありますね。
需要が高いものは当然でありますが足りていない。
食料なのか、武器なのか、あるいは何からの薬品か……
出発前に聴いた、不死の兵についても調べを。

――おや。
栄龍様。
“お顔色が優れませんが”。

相方が祖国を憂いている時は密かに顔を寄せて囁き。

今は耐える時だ。
望む結果の為には、反吐を呑み込んで笑顔を浮かべろ。
お前が軍人だと言うならそうするべきだ。

……ええ、良い顔でありますね。御主人様。

それと懸念がもう一つ。
“強力な兵力”とやらについて。
それが、仲間の懸念通りだとすれば……

尾行には要注意。
民間人にも気を許すな。
もし仮に見つかれば、栄龍は絶対に逃がす。彼の存在はこちらの急所だ。
逃げきれない場合は錬鉄の搆えで敵引き付け。