この家のリビング。ある程度の家具は置かれている

ええ、以前カタリナ様のギルドにて同じような質問を
その様な物は特にない、とお答えした覚えがあります(紅茶を啜りながら

やはりそうか。
近頃は三日前に言った事すら具体的な文面すら思い出せなくなってきたよ。

……そうそう、それでだね。
花を育てて観るのは…如何かな？

花でしたら前の住人の方が残して行ったと思しき物が外に残っていますね
一応管理だけはしているのですが

ああ、あの表に見えた彩り豊かな。
その中から、シェリーが自分から連想できる花を選んで家の中で育ててみないかい？

私が、ですか
あのまま管理しておくのとさしたる違いがあるとは思えませんが

うむ、特別何の思い入れが無くとも自分と同じ空間で花を育てるというのは楽しくなって来る物だよ。
或いはちょっとした習慣の変化が退屈を無くしてくれるかもしれない。

……フフ、一番良いのは君が花を愛でる姿を見れる事だがね！（紅茶を啜り）

･･･成る程、ならば一考の価値はあるやもしれません、が

問題としましてはその愛でる姿とやらが自分では全く想像できない点にあるのですが

誰しも初めは愛でるわけではないのだよ。
愛とは突然生まれる感情に非ず、時間、或いは手順を経てゆっくりと形作られていく物さ。

極端な話……似合う花を探求するついでにシェリーが花を愛でる様になれば素敵だと思ったが
それはそれとして、何か一つの事に意識を傾ける生活も良いものだよ？ と教えたくなったのさ。

教えるとは違うな……ふむ、好奇心だろうか。

ふむ、成る程
カタリナ様が仰られると説得力があるのかないのかわかりませんが

1つの事に、ですか

私は人を愛しているからね、普段はそこに個人の魅力や第一印象が重なってると言った所なのさ。
現に、セレステやレインにしか恋愛の類を匂わせる言葉は吐いた事が無いとも。

うむ、1つの事にだね。
まぁそこは君の興が乗った時にでも考えてみたまえ。
こうしてちょっとした事を意識するのも楽しみの1つになるだろう。

成る程、ならば良いのですが
他の方の行動に口を出す程私もできた人間である訳でもありませんし

･･･善処するといたしましょう

うん？ シェリーは私に口を出しても良いんじゃないかな。
私からすれば君は大切な友人なのだからね。

フフ、さて……そろそろ私も帰るとしようかな？
気の所為か、何だかとても長い間君と過ごした気がするからね。（アールグレイの残りを飲み干して）

紅茶、美味しかったよシェリー。

ええ、お相手ありがとうございました
今度いらっしゃる際にはキチンと玄関から来ていただければ

さて、お帰りになった事ですし片付けをしてしまいましょうか

･･････ふむ、今回はどうしたものでしょうか

（黒い鳥が窓をこつんこつんと叩いている）

･･････おや(窓を開ける

(黒い鳥がピョンピョンと部屋に入り、脚にくくりつけた小さく畳んだ紙を差し出す)

･･･ふむ？(紙を受け取る)

(相手が紙を受けとるのを確認して、黒い鳥は窓から飛び去っていった)

(紙にはこう記してある。

「入ってもいいかしら？」)

･･･(呆れた様に溜息をつき)
どうぞ、お入りください

では遠慮なくお邪魔するわね。
（回りくどい手段を取りながら、しかし普通に扉から入ってくる）
権能が使えれば、壁抜けもやって見せたのだけれど……。

いらっしゃいませ、何かお飲み物を用意いたしましょうか？

ええ。お願いするわ。
何があるかしら？

コーヒー、紅茶類、ジュース類･･･一通りの物は揃えておりますね
流石に酒類はありませんが

では紅茶をお願いするわ。
茶葉の選択は……おまかせするわ。
この世界の葉はわからないし。

そうですね、ではアッサムで良いでしょうか(台所で淹れ、2人分のカップとミルクポットを持ってくる)
ミルクはこちらにおいておきますので、ご自由に

ありがとう。
……アッサム……(受け取って、少し驚きながらも一口カップを一口)

突然お邪魔してごめんなさいね。
偶然見かけたものだから。ちょっと挨拶に立ち寄らせてもらったの。

いえ、お気になさらず(カップにミルクを少し注ぎ、混ぜ)
私も退屈しておりましたので

ではお互い丁度良かったと言うところね。

普段は、なにをしているの？

情報の整理やここの管理などと言った所でしょうか
尤も、前者に関しては現時点ではそう出来る事は多くありませんが

そうねぇ……出てる情報って今の所大したことは･･････。
ふむ……（思案し）

情報の整理って、例えばどんな事かしら？

そうですね、主にイレギュラーの方に関する物となりますが
街角に見られる方のギフト、イレギュラー全体における勢力図等でしょうか
この世界に関してはこの国の現状を観察しに行くつもりではあります

尤も、どれもこれもまだまだ観察不足ではありますが

へぇ。勢力図？
というと、どういったものかしら？

あ、ギフトは面白そう。纏めていくの？

特定の個人がある行動を起こそうとした際、それに同調し得る大体の人物や人数などを纏めた図。とでも言いましょうか

例えるならば、私がある行動を起こそうとした際に同調してくださる方はそう多くはないでしょうがある程度以上の規模のギルドの管理者ともなれば話は変わってくるでしょう
即ち、これは与する国や組織の違い、思想の違いなどによりイレギュラー同士で対立した際に警戒すべき方を中心とした戦力を纏めた図となりますね

ギフトを纏めるとしましても、あくまで私の為の物ですが

･･････。･･････確かにこの世界では起こりうる現実でしょうけれど……成程ね。
面白い視点をしているのね汝（あなた）。
興味深いわ。ええ、想像以上に。

自分のため？　と言うと？

ローレットというモノがこの幻想に根を張っている以上、あくまで仮定の話ではありますが
いつまでも全員が味方であるという確約があると思うほど私も平和ボケした思考はしておりません

これも先ほどの物と関連するお話しではありますが
敵を知り味方を知る、つまりはそう言う事です。尤もこれは丁度良い観察対象があるから観察する、という意味合いもそれなりには強いのですが

様々な志向を持った人がいるものね。
中には悪逆の使徒もいるかもしれない。
そうでなくても派閥が発生してしまうかもしれない……。
シェリー自身は、どこにも所属しないの？

……丁度いい観察対象ね。
一貫してるわね。
我(わたし)もその調査結果気になるわね。

人の派閥という事でしたら今のところ、特には。これからもその予定はありませんが
国という事でしたらこの国を中心として活動する以上幻想という事になるのでしょうか、それでも国同士のいざこざがあった際には怪しいものですが

まぁ飽く迄種別ごとの大まかな調査にはなるでしょう

ふぅん。ギルドには特に所属するつもりはないって事？
拘りとかがあるのかしら？
常に衝突を意識してるのね。
･･････もしかして、なにかそれであったのかしら？　過去に。

それでも興味深いわね。
そもそも発想のスタートが面白い。

ええ、個人のギルドに属するつもりはないですね
この国の現状を考えるならば衝突を意識するのは当然と思えますが

いいえ、私の過去など語る事もなきつまらぬ物ですよ

そう。それは残念ね。
もしよければ同胞に、って考えてたのだけれど。
･･････当然と思えてもそれで実行に移す人はいないって事よ。
それに関して何かしら携わる人間でない限り、ね。

つまらないかどうかは･･････それは我（わたし）が決める事だわ。
話したくないのであれば、その限りではないけれど。

･･･ふむ、成る程。ならば次からは気をつけるといたしましょう(実行に移す人は居ないとの言葉を聞き)
この国で生きるからには全員が携わる様なものだとは思うのですが

私としての過去であるならば、特別お話しする事を躊躇う内容ではありませんよ
尤も、お話し出来る事はそう多くはありませんが

あぁ、携わると言うのはその衝突を直接、間接的に指揮する人間の事よ。
今の我（わたし）達は単なる庶民とさして変わりはないわ。幾らかの特権と力を除いて、ね。
今から先を見据えるのは大事な事だけれど･･････考えすぎも体に毒よ？

あら？　聞いていいの？
子供の頃何をしてたのか―、とか。何が好きだったのか―、とか？

成る程、そう言う事でしたか
ご忠告痛み入ります･･･が、元よりこの程度は当然の事。この程度ではどうという事はありませんよ

幼少の頃、ですか
何をしていたか、と言われましても特に何も。と答えざるを得ませんね
好きな物も食事という意味でしたら特にありませんでしたので

頑なねぇ。と言うか身に染みすぎて自然体になっているのかしら？
どうしてそんな考えをするようになったのかしら？

特に何も？　本を読んでたとか、勉強とか、友人と遊んだとかの思い出とかは？
･･････食事が特にない･･････。

当然の事であるから思考をする、ただそれだけの事です
それ以上の理由はありませんよ

元より勉学は私には必要のない物でしたから
同僚や上司はおりましたが友人と呼ぶものはおりませんでしたね

それ以上の意味はいらず、それ以下の事柄は無駄である。
ある意味において、汝（あなた）は考える事が好きなのかもしれないわね。
碩学、哲学とか興味はないの？

勉学は必要ない？
それは既に生きる術を身に着けていたから？

ま、友達作るのが得意そうでないのは雰囲気から感じるわね。

碩学や哲学、ですか。元より私は浅学非才の身
その様な物は似合わぬかと
暇を潰す目的ならばまだしも、ですが

いえ、簡単な読み書きが出来ればそれ以上は必要ありませんでしたので
それ以上は学ばなかったというだけの事です