PandoraPartyProject

ギルドスレッド

unknown

未知なるカダスを夢に求めて

 夢の世界は無意識を通り、普遍的に輪郭を成す。貴女or貴方の眼前に映るのは輝きの渦。逆巻くもの。不可視の薄赤木馬。霧に包まれた不可思議な家――此処は幻夢境『ドリーム』だ。如何なる存在でも歓迎する、カダス『遊園地』なのだ。

※※※
RP限定スレ
遊園地で楽しもう。
団員でも否でも大歓迎。
お祭り騒ぎの歓声満ちれ。
誰かとの出会いにどうぞ。

期間
芸術家が飽きるまで。

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 彫像で成立した幻夢境『遊園地』が客の貌を覗こうと必死に輝く。魚類の如き仮面を被った、人型の物体が粘液を垂れ流し、ヒタリヒタリと歩み続けて――不気味な部分は芸術家作――緩やかに。さあ。数夜限りの物語だ。誰でも好い。此処に花を齎し給え。
おぉ~なんか神々しいヒゲメンが居ますな…(『ノーデンス』、神様)
うん?何か周りに変なのが…(『夜鬼』、ノーデンスが呼び出す使い魔)
おわぁぁあぁああ!!(夜鬼に組み付かれ連れ去られ、何処かへ行った)
「谷底へ落下する鉄屑。作品題材的には陳腐だな。涎を吐く蛆虫の餌よ」
 某所に攫われた騎士様は諦めよう。
 気を取り直して。

 輝く遊具『ジャンル』が楽し気に踊る。
 くるりくるりと動き出す。
ははあ、ははあ。奇っ怪な光景だ。あれは我が友の作品か?この器具は……なに、遊具?責め具ではない?ほんとに?…………そうか……。
あー、このような光景は、何と言えば良いのか。私の頭脳では上手く言い表せん。屑鉄卿が連れ去られた様は愉悦であったが。

……あ、いや、いや。待て。待てよ。
その前に一つ、疑問があるのだよ。今の内に聞いておこう。
その……『ゆうえんち』ってなんだ?
「説明が必要だったな。親愛なる友よ。遊園地は悲鳴と歓喜の箱庭だ。数多の人間が恐怖と愉悦を求めて――此処の場合は娯楽を望む――訪れる気の触れた世界。問題は貴様よりも仔共達が相応な現状か。取り敢えず。人間種は喜びに満ち溢れた。貴様等の視点では確かに未知故、暇を潰すには最良と説く。兎角――親愛なる友には絶叫云々が『らしい』遊具『ジャンル』か。一部の彫像――金属で成された人形――以外は別存在の手で!」
つぅまぁりぃっ!
ここでは面白おかしくあっぱらぱーにっ! 笑って遊んで、それが許されるんですねっ!
なーーーーーーんて素晴らしい場所なんでしょう遊園地っ!
明るい未来においては是非是非、一国におひとつずつ設けて欲しいものですねっ!

溢れる音楽っ! 考えうる限りの楽器っ! 並ぶ並ぶ歌唱隊の列と、重なる美声っ!
ひゅーっ! お抱えの音楽隊ですらレベル高―いっ!
ぶらーばぉー! おぉぶらーばぉー!(ぱちぱちぱちぱち)
 元気な叫び声が脳髄に響く。
 歓声を塗り潰す所業は正しく相応しい。
「親愛なる友よ。其処の娘と一緒に楽しむのは如何だ」
悲鳴。歓喜。恐怖。愉悦。なるほど、なるほど。遊戯場。
……うむう、仔供か。確かに、私には縁遠い場。私の職務はそういった平和的な娯楽とは無縁!だが、それ故に……興味深い!!
うっふふふふ……

ふおっ!?……これは、これは元気な娘子だな。
圧巻。圧倒。よくもここまで舌が回るものだ!
ああ、我が友よ。彼女が良いのなら。彼女は娯楽の何たるかを心得ているだろう。
およよよよよー? これはまさかナンパというやつでは?
あらやだステキでありませんか奥さん?
それってとってもじゅうななさいっぽいですよっ?

閑話休題っ ヘイ、ブラァダーっ!(極めてネイティブに近いbrotherの発音)
この遊園地歴10分にも満たない、自称ベテランユウエンチャーのヨハナが遊園地でびゅーにお付き合いしましょうっ!
なーに、難しく考えることはありませんっ!
素早きことは出歯亀の如くっ 面白そうだと思ったものに片端から首を突っ込めばいいんですっ!
ヨハナ、個人的にはあの「絶叫マシーン」というのが気になりますねっ!
それに元気と肺活量には自信がありますからっ!
「親愛なる友に妹が生まれた。祝福すべき現状に絶叫の愉悦を齎さねば。貴様等に素敵な寒気と娯楽的な恐怖を与えねば。此度の場合は『最も娯楽的』で在るべきだ。娘が遊園地『物語』の遊具『ジャンル』を網羅するならば我等『案内人』の言葉は不要。充分に乗り尽くすが好い。肺活量か。我等『物語』の臓物は塗料が如く!」
ナンパ。なんぱ。難破?
はてさてここは海洋だったか。いやだがしかし、未知の領域だという点では同じと言えるか?そう、ここは果てなく続く未知で未開な大海原!!この世界で言うならば『絶望の青』!!
うわっ……嫌な響きだな……。

おぉ、同行してくれるか。有り難い。有り難いな!先程の発言で頂点に達した心細さが幾分かマシになった。旅は道連れ世は情け。この素晴らしき出会いをもたらした神に感謝を!!
そう、如何にも私はブラザーである。品行方正清廉潔白愛され系ブラザーである。まあ、修道院に居たのは少年期のごく僅かな期間であったが!あそこは私の性に合わん!!!
ようしよし、解ったぞ。我がシスター。我が妹よ!その、「絶叫マシーン」とやらに挑むとしよう。名称からして興味を引かれまくりだぞ。そして、肺活量なら私も自信がある!!専ら、絶叫させる側であったが!!!
なんてこったいっ! ヨハナをナンパしたのがお兄ちゃんだったなんてっ!
なんて禁断味が溢れるっ! しかしその筋の人には案外大好評?

閑話休題っ、それでは修道院のビッグ・ブラザーの居ぬ間に、楽しい楽しい遊びを始めましょうっ!
件の「絶叫マシーン」というのはアレですねっ! あの廃工房っぽい建造物っ!
なんでも「チクタクマン」なる器物に擬態する悪魔が潜む工房らしいですよっ!
ヨハナ達客人は「チクタクマン」に掴まらないように、工房の出口まで逃げ延びればいいらしいですっ!
なーんて斬新かつ新鮮な設定なんでしょうっ! どこぞの病院を舞台にしたアトラクションも真青ですねっ!
しかしながらしかしながらっ ヨハナの肺活量で100万パワー、ブラザーの肺活量を加えて倍の200万パワー、いつもの2倍の絶叫で400万パワー、楽しさ2倍で800万パワー、なんやかんやでさらに2倍で「チクタクマン」を超える1600万パワーを誇るブラザーズの敵ではありませんっ!!
絶叫し、笑い倒してくれましょうっ!!
 饒舌の嵐に含まれた言葉――機械仕掛けの神――に舌打ち。己が最も飽き飽きした『混沌』を名乗る遊具『ジャンル』の悪夢だ。芸術家は自身の輪郭に苛々を覚え、蠢く肉を伸縮させる。新鮮かつ斬新だと? 戯れを――深呼吸――戯れだと再認識。沸騰する血液『絵具』を鎮め……忌々しい。ああ。壊して終いたい。遊園地『物語』を……違うな。此処は我等『クトゥルー神話』に対して皮肉を込めた『遊戯場』なのだ。受け入れるのだ。受け入れねば。
「絶叫よりも絶望が相応だ。親愛なる友には少々、物足りない筈よ。此処の総ては娯楽化の『塊』故に。未完成品の方が『恐怖』を齎す。酷い。ああ。全く。酷いな!」
チクタクマン。
珍妙な名だな。なんだか抜けている。器具に擬態?というのも回りくどいな。私が知る悪魔とは大きく異なる。
まあ兎に角!そのチクタクマンとやらから逃げおおせれば良いのか!自ら訪ねておいて逃げ帰るとは。奇妙奇天烈。いや遊戯とはそういうものか。いやよく分からんが。
……えっいやちょっと待って我が友。そういうことを言ってしまうか。物足りない筈と。実際そうかもしれないけどそこは黙っておくのが華だろう!いや、いや、いい。大丈夫だ。聞かなかった事にしておく。…よし!!

まあ分からぬなりに楽しもう!!娯楽を享受しよう!!行くぞ、我ら1600万パワーのブラザーズ。計算式もこれまたよく分からぬが、私はそもそも計算が苦手なので分かろうが分かるまいが何の問題も無かった!!!!
(・・・増築に増築を重ねた複雑奇怪な造形が、住むものの気の触れようを示すよう。
 何者の来訪を拒むが如く窓はなく、何物も逃さぬが如く鉄線に囲われるその姿。
 間違いなく私たちが求める場所は、其処にあった。

 重く聳えるレンガ造りの痛々しい沈黙に、我物顔の蔦々がしがらむが如く縋れば
 天辺には軋む叫びを挙げながら我らを睨み射る風見鶏の双眸。
 嗚呼。 あなたも同じことを思うだろう。
 「この屋敷にはもう何物もいないのではないか」・・・・・と。

 しかしそれは私たちを迎えるように、そして無人のままに開かれた。
 狂える歯車の嘲笑声にも似た金属音と共に、扉が開く。重々しく。厳粛に。
 途端に臭い漂う鉄、鉄、鉄、そして脂の腐る吐き気の残留。
 余りにも厚く、傷塗れた鉄扉はこの地の尋常でない様をむざむざと語る。
 そしてこの扉をくぐった時・・・嗚呼、くぐってしまったのなら。
 その予感は確信に近い寒気へと変わるのだ。

 物造りの範疇を大きく逸脱した工具の数々。
 また不適切な使われ方に歪んだ器物の葬列。
 喪に服するように黒い滴りに装い汚れ、鉄の臭いはより深みを増す。
 壁一面を覆う大小様々にして理解を超えた器物の諸兄。
 製作者そのものの偏執狂を映し、用途を考える程に人を魅入る悪魔的造形。
 思わず手を伸ばしたくなる・・・ されど触れれば後戻りが出来なくなる・・・・
 そう、触れてしまえばこの館の主のようになってしまうのではないか?
 そのような潜在的好奇心が、より不可解な恐怖を煽るようでもある。


 ――――――不意に     物音がした。
 屋敷全体から聞こえる「作品」の歯車の音とはまた違う・・・・そう、なにかだった。
 機械の構造を真似た迷宮のように混沌と化した館の、その深い奥から。
 いまだこの館に息づく何者かの声だろうか。
  ・・・・いまだこの館に潜む何物かの息遣いだったかもしれない。
 ソレが落とした足跡の代わりに、黒く続く染みが奥へと伸びていた。

 そのような光景を見て傍らの娘は―――――
うっひょーーーー! 臨場感あるうぅぅぅぅっ!
おばあちゃんが即身仏と化すレベルのサイコ感ありますねグレートですよこいつぁー!
ここから追いかけっこですか? 見つからないようにしなくっちゃですね!
でもでも一回くらいチクタクマンを見てみたい気もしますねっ!
超絶楽しみでテンション振り切っちゃいますよブラザーっ!
 (―――【スーパーポジティブ】であった。)

・・・・あっ! そうだっ! ヨハナ今気付きましたっ!
器物(マシーン)に絶叫させられるから「絶叫マシーン」なんですねっ!
内容に反してネーミングセンス洒落てるーっ!
 (【スパーポジティブ】であったのだった。)
「不愉快だ。凄まじく不愉快だ。貴様等。其処を退け。糞の如き機械仕掛けどもが。我等『物語』の一部どもが。貴様等に寄越す筆は無い。歯車の狂った予定調和の軍勢が。忌々しい。違うな。娯楽の極み……黙れ。煩わしい言葉で我等『物語』を嘲笑うのか。貴様の哄笑は貴様等自身への蔑みだと思考せよ。不可能だったな。貴様等物語『陳腐』に必要なのは人間の所業……観るが好い。其処で戯れる娘の美貌を……貴様等『物語』の無を冒す人間の結果だ。冗長だ。酷く肚が煮える。塗料の如き臓物が沸騰する。糞が……神だと謳われた糞の玩具が……破滅せよ。ああ。失礼。既に破滅した状態か。我等『物語』に含まれた時点で、貴様等も哀れな。可哀想に……何。睨むな。我等『物語』の派生系よ。貴様等は根源的な部分も有するのだ。某所の美少女よりは……慰めは無意味か。畜生。親愛なる友よ。我等『物語』の気が失せた。貴様の反応で今後を決めよう。頭が痛い。泡を吹きそうだ。己が酷い悪夢に視得る」
「上位存在の所業が。我等『物語』の執筆に介入するのか。侵蝕するのか。冒涜するのか。黙れ。己の存在を維持するには『在るべき筆』で留まるべきだ。少々逸脱に過ぎた結果、誰かに憤慨の拳を掲げられる。其処は思考に入れるべきだ。這入るには早々に酷いぞ。先程の酷いよりも酷いぞ。負の感情が沸騰する。ああ。恐怖『神』を越えた嫉みの雨。妬みの雷。好いか――それは我等『クトゥルー神話』の所業で在るのだ。蛇足でも何でも。我等『物語』は吐いて終おう。上位存在よ。描くのは我等『筆』なのだ。忘れるなかれ! 勿論、我等『物語』を綴るのは自由だ。此度の言葉は場所と時間で選ぶのが最善よ! 好きに為す場合は確認を……まあ。今回は任せよう」
失礼…間が空いたな。あの、あれだ。頭と手の回転が追いつかなかった!!!

なる程。なる程な。
悪くない造形だ!特にこの工具、この使い古され具合。ひとつ欲しいな。ディスプレイとして。これ一つあれば雰囲気がだいぶ…何、拷問に?使わんよ!私は信頼できる道具が良い。まあ必要に駆られれば使わなないこともないが、これは少し……手入れが足りんな!
ああ、いや、いや。違う。そういう話ではない。
なんだっけ…チクタクマン?から逃げれば良いのだったなマイシスター。そうだな見つからぬように行こう。声を落としてな!!!!
なに、その内に遭遇できるだろう。これで最後まで何事もなく逃げ切れたら詐欺だ。詐称だ。
そう、器物(マシーン)は与えられた役割の為に動かねば。我らに絶叫をもたらしたまえ!!

と、言う訳で。
先ずはこの黒い染みでも追ってみようか!
この歪んだ形状を一個一個作った方の仕事の丁寧さが伺えますよねー。
およ? 拷問? なるほど、ヨハナ知ってますよ。 ネゴシエイターの一種ですよね。

閑話休題っ、ヨハナの左側にいるブラザーの右に同じくシスターもそうしましょうっ!
遊園地歴15分のベテランユウエンチャーのヨハナにはわかりますっ!
これこそがこのアトラクション考案者が用意した工房の道筋に違いありませんっ!
ほとんどたぶんきっとおそらくめいびー!
チクタクマンに見つからないように、決して走らず急いで歩いてそして工房を脱しましょうっ!
 (心ウキウキ胸わくわく勇気りんりん元気はつらつ立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合のように奥へ奥へと忍ぶ)


【今後の展開を1ミリも考えていないのでダイス目が低いほど悪い事が起きることにする
 全体で3回程度振ったら脱出できたものとして扱う】
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「何とも骰子遊戯に相応な反応だ。確かに我等『物語』の性別は不明。されど女性とは言い難い声帯故――現状で垂れ流す話題に非ず。在るべきは醜き所業が『何者』の手か。怪奇な手先。兎角。脱出への糸口は我等『管理人』でも解き難い。違うな。不可能だ。此処には独り歩きの未完成品が漂う程度よ。結局は半端物の一個体なのだ。重ねて。千たる糞餓鬼の欠片。奴等に恐怖は勿体ない。奴等に狂気は勿体ない。奴等に嘲笑は勿体ない。娯楽の所業ども――工房を成すならば我等『物語』を模倣すべきだ。娯楽には娯楽の真似が相応なのだ。何。思考回路が混ざり始めた。莫迦な。我等『物語』は物語以外介入不可能。干渉不可能。壁を壊すなど不可能。認識する程度の存在だ。ええい。五月蠅い。機械風情が。ガラクタ風情が。空々風情が。某所で蛆虫を圧し潰す作業を為すが好い。好奇心は数多を殺す」
(訪問者を誘うように、黒い痕跡は屋敷の奥へと続く。我らブラザーズはそれに従って屋敷の奥へと進む。走らず急いで歩いて声を落として。肝心要な警戒心がイマイチ欠如しているような気がしないでもないが。
まあ兎も角、幸か不幸か未だチクタクマンは現れない。しかし屋敷から脱せぬ限り油断は禁物だ!)

ふふふふふ、ドキドキしてくるなマイシスター!なんというかこう、こういう何かが起こるようで起こらない時が一番高揚しないか。心臓に圧力がかかるような!
追跡は今のところ上手くいっているようだ。上手くいっているのかな?上手くいっているのだよな?いやそもそも、私たちが追跡される方なのだっけ?
まあいい!!この奥には何かあるのだろうなあ。何か起こるのだろうかなあ。
さあ来い。さあゆくぞ。声帯の調子は良好。仮面はな、湿度を適度に保つのたま!便利!うふふふ、いつでも絶叫できるぞ。
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そうですねブラザーっ! なんかこう、焦らされてる感ありますよねっ!
こーゆーのは恋愛ゲームと一緒で、追ってるつもりが追われてる、なんてことはざらですよっ! カップリングのリバみたいなもんですっ!
いやいやその例えですと炎上してしまったり却って危険ですのやめましょうこの話はっ!

それにしても特に何もないまま中盤・・・・中盤ですよね?
ここまで来てしまいましたよっ。
途中で工具が宙を舞いだしたり、オーブンから悲鳴と共に赤い水が流れ出したり、扉が一斉に閉まったり、昇降機が急停止したり、大きな鐘の音とともにヒタヒタと追いかけてくるなにかの気配を感じましたがっ。
それくらいのものでなーーんにも起こってませんねっ!
この調子なら事実上のヨハナ達の不戦勝ということに―――(突然)
(彼女は気付いていなかったのだ。
 自らの胸に提げた無数の懐中時計・・・それがひとつ増えていたことに。

 突然、懐中時計のひとつがギチギチと音を立て、秒針を唸らせる。
 文字盤は狂い悶え蠢き表情を変えて百面相を作る。
 その鍍金の胴体を震わせ、膨れあげさせ、常識を超えた形状へと変形させた。

 なんということだろうか。
 時計だと思っていたのはソレの「掌」だったのだ。
 時計のような形状から蜘蛛脚のように伸びてきた、無数の長い節が「指」だ。
 歯車やワイヤーの機械仕掛けを剥き出しにして、彼女の胸倉を掴む掌だ。

 それだけではない。
 ソレは質量や材質の常識を無視して、瞬く間に大きな構造物へと展開されてゆく。
 さながら融解していく人体の様子を、逆再生・早送りで見せつけられるが如く。

 驚く間も与えないほどの一瞬に、ソレは完成していた。
 皮膚を剥ぎ取り、その内側を機械細工と配線で埋め合わせたような気色悪い造形。
 無数の文字盤が切断した蓮の根の如く並び、揺れては瞬く無表情にこちらを睨む。
 モニター、電極、車輪、蝶番・・・それら思いつく限りの金属製品が機械の一群
 あるいは一個の巨大な機械の如く、されど生物のようにぬるりと息づいていた。
 島のような胴体を支える無数の脚が、歯車の軋みと黒色の油を落として歩を詰める。

 今にも握り潰されそうな距離の中、我らはようやく気付くのだ。
 この鉄と油の臭気の正体こそこの存在の物であったのだと。
 電気をスパークさせ、蒸気を噴出し、歯車を揺らすこのものこそソレだったのだ。
 そう、この鉄を誇大妄想と強迫観念で加工したようなフェティッシュの塊こそが
 チクタクマンだという事に。


 器物に化け、意図もたやすく日常に潜む文明のバケモノ。
 このような人智を超えた存在と接触したヨハナ・ゲールマン・ハラタは
 すかさず右ストレートを食らわし、ひるんだすきに杖で二回殴り飛ばす。)
不戦勝という事になりまあ”あ”あ”あ”あ”あああああああああああああああ↑↑!!
 (重ねて言う、右ストレートを放ったのだ)

ああああああああああっっ↑↑あああああああああああああああああっっっ↑↑!!
 (さらに重ねて言う、杖で殴ったのだ。2回も。)
 (およそ140dB:ジェットエンジン相当の絶叫を挙げながら)
※以下、芸術家の脳内にて 
 此処は憤慨するKP的描写で返すべきか。
 時計仕掛けでは生温い――チク・タク・チク・タク――蠅の如き針は黙れ!

 君達は骰子を投げた。運命は死に墜ちて往く――展開も糞も在るものか。工具の宙は黒一色。鮮血の噴出も叫びを成さず。扉も昇降機も沈黙を続ける。ならば鐘を供に訪れる足音か。否だ。陳腐を晒すなど我等『宇宙的恐怖』に在らず。勿論、窮極の混沌の中心で沸騰する愚痴の極みも現状に不相応。必要なのは在り得ない事柄だ。名状し難い。筆舌に尽くし難い。本来『一笑』されるべき言葉を――夢現で最も恐ろしい変化を。
 先ずは貴様だ。親愛なる友よ。貴様に相応しい感情は恐怖と解けぬ。驚愕と困惑だ。故に周囲を見渡すが好い。何も存在しない。我等『物語』も存在しない。ならば貴様は何を覚えた。遮るものを剥がす音。嵌め込んだものを舐る音。仮面を融解させる音。されど装着した『もの』は形状維持。さて。親愛なる友よ。貴様の眼前に在る人間『妹』は冒涜者では?
 次は貴様だ。貴様――貴様……我等『物語』では無理だ。

「成程。我等『管理者』の出番は死んだ。好きに為せ」
 本『パンドラ』を閉じる。
!?
……。(二度見)
えっ。これ。
えっ。
骰子……骰子……とは……。
えっ。

……はっ!!意識が飛んでいた。何処かに。何処か、そうなんというか、別の……。いやどこでも良いな!重要なのはそこではない!!!!
しかしいかん!呆気に取られて絶叫するタイミングを失ったぞ私!!
そこは悔しいが……よくやったマイシスタァ!!!これまたイイのが入ったな!これは痛い!!!
ふふふふふ……ふぅははははぁ!!なるほどな!こうやって楽しむのか!いや合ってる……?合ってるのこれ……?大……丈夫……?
ええいわからん!!!!成すように成れ!!
(からくりの悪魔に追撃を食らわすべく、ハンマーを手に走り寄る異端審問官。マイシスター。流れで出来た我が妹がやってやったのだ。ブラザーもやってのけねば。
とにかく、ええと、あれですよね。分かりました。世界は物理。宇宙の心は筋肉だったんですね)
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  (そこにはもうチクタクとすら鳴かなくなってしまった怪物の姿が....)
わぁいやったぁ! ようやく出口に到着しましたっ!
絶叫マシーン・チクタクマンもヨハナ達1600万パワーの敵ではなかったといことですねっ!!
 破壊された遊具『ジャンル』を直すべく、芸術家は夢を揮う。贈物は変質したが『夢』で在る遊園地『目次』ならば維持可能だ。歯車も螺子も針もetc……時間は必要だが充分に容易。用意された道具も完璧。二人が歓んで在る間に修復を。
ああ、うむ、うむ。着いたな。終わったな。
哀れなチクタクマンにはせめてもの安息を。いやわざわざ棲家に乗り込んで行って破壊した側が言うことではないか?まあいいか!!!!
なるほど。これが遊園地か。これが娯楽か。驚愕に次ぐ驚愕。そして困惑。
いや兎も角ありがとうマイシスター。付き添いに感謝を!私ってば色々な経験不足を痛感したよ。
とんでもありませんブラザーっ! ヨハナこそお礼を言わなくってはですよっ!
こーゆーお祭り騒ぎはですね、複数人で望まねばわからない楽しみがあるんですっ!
楽しいことは100万パワーのよろこび、されど所詮は100万パワー、まだ天井知らず。
そう・・ヨハナ達1600万パワーの1600万とは、楽しみが1600万ということなんですっ!
1+1は2じゃないんですよっ! 10倍ですよっ10倍っ!!
それにですねぇ。
ヨハナ、こーゆー場所に来たのはたぶん?おそらく?初めてですので。
こうやって素晴らしい体験を分かち合えるのが嬉しくって嬉しくってですねー。
えへへー。
 芸術家は違う作品の為に遊園地『目次』を離れ。

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