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噴水前の歌広場

【ヨハナ・ゲールマン・ハラタ】冬への扉

「波をね、消してるんだ」

 残暑厳しい季候ももうすぐ終わりを迎えようとしている。なまぬるいばかりであって文句を言っていた噴水も漸くひたひたとしていられる具合になった。りぃりぃと茂みから虫の歌が聞こえる誰そ彼時に感じ入るような様子でいながら足を浸し、俯いて水面を見つめながら彼女はそんなことを唐突に言った。
 ゆらめいた足がぱちと波紋を生み出して、映った青白い顔がゆらゆらと消えた。

「こんなちょろちょろの噴水でも、波は起きてるからさ。だから、蹴っ飛ばして消してみようって思ったんだよね。でも何度蹴っても消えない。新しい波が出来るばっかり」

 あーあ、がっかり。と言いながら楽しそうな顔で彼女はぱちゃ、ぱちゃ、と波風を立てる。何度も。何度も。何度も蹴って蹴って蹴っている。

 そんな彼女を目にした貴女は―――

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海っ! 海ですかっ!
ヨハナ、勉強をしたので島嶼がなにかはわかりますよっ!
ちっちゃい島ことですよねっ! どのような、までは想像がまったく追いつきませんがっ!
しかも貴族だったとはっ! お洋服選びに育ちの良さが滲み出ているはずですっ!

それに、青っ! 海っていうのは底の方までちゃんと青かったんですねっ!
いえいえヨハナも実際に海を見に行ったことはあるのですけもっ
ですけども、浜辺は足元の砂浜がすぐに見えてしまってですねっ
青みがまーーーーーーーーーーったく足りなかったんですよっ!
そうですかぁっ ちゃんと芯までたっぷりの青色だったんですねぇっ!

見上げても浮き上がっても沈んでも青色・・・・・
・・・・・うーんっ! 想像もつきませんっ! 見て見たくありますねっ!

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