PandoraPartyProject

ギルドスレッド

スレッドの一部のみを抽出して表示しています。

噴水前の歌広場

【ヨハナ・ゲールマン・ハラタ】冬への扉

「波をね、消してるんだ」

 残暑厳しい季候ももうすぐ終わりを迎えようとしている。なまぬるいばかりであって文句を言っていた噴水も漸くひたひたとしていられる具合になった。りぃりぃと茂みから虫の歌が聞こえる誰そ彼時に感じ入るような様子でいながら足を浸し、俯いて水面を見つめながら彼女はそんなことを唐突に言った。
 ゆらめいた足がぱちと波紋を生み出して、映った青白い顔がゆらゆらと消えた。

「こんなちょろちょろの噴水でも、波は起きてるからさ。だから、蹴っ飛ばして消してみようって思ったんだよね。でも何度蹴っても消えない。新しい波が出来るばっかり」

 あーあ、がっかり。と言いながら楽しそうな顔で彼女はぱちゃ、ぱちゃ、と波風を立てる。何度も。何度も。何度も蹴って蹴って蹴っている。

 そんな彼女を目にした貴女は―――

→詳細検索
キーワード
キャラクターID
そっかそっかよかったよ。
てっきり僕の存在はフライの彼方に飛んでいってしまったのかと思ったよ。
フライだけに。

(ヨハナちゃんのほおばる逆の端からワインビネガーをどぼどぼかけている。
おじさんが、高いんだからそんなに使うなという顔をしていた)

ええと、故郷、家、うーん。普通だよ?
……って言っても、それじゃあ納得しないよね。
だって誰の故郷も誰にとっては普通で、誰かにとっては普通じゃないものね。
そうだなあ、何といえばいいかなあ。

(ぽろんぽろんと鍵盤を掻き撫でる。散発的で即興的なハープの音はとり止めの無さを脱して流麗なアルペッジョに移行していた。そこには震えるように官能的なサキソフォンも混ざる。もし然るべき知識を持つ者が見ればそれをシンセサイザーという楽器と見間違ったかも知れないが、この音色を為さしめるのは彼女の魔法と音楽的素養である。

ぶくぶくと しずんでいく
あわをはいて みずをのんで
くらい くらい うみの かなたへ
さむい さむい なにも ないところへ

 例えるなら、そんな曲だった)

僕のふるさとは、海洋のはじっこの、そのまたはじっこの、さらにまたはじっこ。
ほんのわずかの島嶼がいくらか、あとはぜんぶ海ばかり。
みわたせば底には無限の青、それを遠目に眺めて過ごす。
それが僕らの いつもの暮らし。
ほんの普通の、海洋の田舎貴族だよ。
地上ではね。

キャラクターを選択してください。


PAGETOPPAGEBOTTOM