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噴水前の歌広場

【ヨハナ・ゲールマン・ハラタ】冬への扉

「波をね、消してるんだ」

 残暑厳しい季候ももうすぐ終わりを迎えようとしている。なまぬるいばかりであって文句を言っていた噴水も漸くひたひたとしていられる具合になった。りぃりぃと茂みから虫の歌が聞こえる誰そ彼時に感じ入るような様子でいながら足を浸し、俯いて水面を見つめながら彼女はそんなことを唐突に言った。
 ゆらめいた足がぱちと波紋を生み出して、映った青白い顔がゆらゆらと消えた。

「こんなちょろちょろの噴水でも、波は起きてるからさ。だから、蹴っ飛ばして消してみようって思ったんだよね。でも何度蹴っても消えない。新しい波が出来るばっかり」

 あーあ、がっかり。と言いながら楽しそうな顔で彼女はぱちゃ、ぱちゃ、と波風を立てる。何度も。何度も。何度も蹴って蹴って蹴っている。

 そんな彼女を目にした貴女は―――

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まったくですねよねーっ。
ヨハナ自身も軽いアイデンティティ・クライシス起こして困ったり、困らなかったりですよーっ。
経歴分かんなくとも、私生活は全然問題ないんですけどもねー。

(白く冷えた肌に、煌々と輝く赤焼けを顔に受け、眩しさからか「きゅう」と目を細める様は)
(絹に陽の朱が差したように紅潮し、どこか喜ばしそうに笑っているようにも見える)
(真実、あなたとのやりとりが楽しいのだろう)(事実、笑っているのだろう)

(あなたが音色に問いかけを載せる僅かな間まで、心地が良いようだった)

「未来を知っているヨハナの未来」ですかー?
えっとですねー。ではヨハナらしいお返事はですねー・・・・。
(んんんと首を傾げ)

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