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噴水前の歌広場

PPP一周年記念SS


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「ラァナさん……それで、私のところに来たんですか?」
「うん」
「こんな怪しいものを開けるために?」
「うん」
「えひ、えひひ、困りますよぉそんな……えっ、これほんとに私が開ける流れですか?」
「エっちゃんだけが頼りだよ」
「そんなん今言われても嬉しくありません……いや嬉しいんですけど!?」
 街角の、路地裏の片隅でぼうっとしていたところを後ろから捕まえたところ、ごめんなさいごめんなさいと言うだけで話をできるくらい落ち着くのにしばらくかかりました。
 そんな紫の髪のしおしおした女の子は、すごく複雑な顔でじたじたと手を動かしています。おどおどしていて、自分のツッコミですら慌てて取り繕って僕が怒ったりしないか伺う始末で、それを見るとなんだかぞくぞくします。
 エマ(p3p000257)ことエっちゃんは、僕の友達です。
 実のところ、僕はもっと優しく普通に遊びたいのですが、エっちゃんを目の前にするとなぜかそれが出来なくなってしまうのです。それは彼女のきょろきょろとどこを見ているか定まらなかったり、目を見た瞬間逃げ出すようにどこか違う方を向いてしまう目のことだとか、つねにおたおたとどこかをさ迷う手の動きだとか、ちいさくちいさく縮こまりたがる身体とか、そういう色々な要素を目の前にしているうちに、段々とイケナイ感情が湧き上がってくるせいでしょう。
 まったく罪作りな友達です。
 それとも罪を抱えているのは僕でしょうか。
 得体の知れないものを押し付けて、脅かして、遊んでしまうなんて。これはひょっとして、自分は無意識に彼女を見下してしまっているのでしょうか。
 ちょっと、罪悪感。
 でも実際、ただのいじわるだけではありません。刃物、特に小さいそれの扱いとあれば普段の、ともすれば鈍くさいとも思える動きが嘘のようにひらりと煌いて光ります。天才的とも言える小器用さです。器用さではないところがポイントです。これだけ固い蝋封でも、彼女ならすぱすぱっとやってくれることと思いました。
 が、頼んで拝み倒せば手伝ってくれるだろうと思っていたのですが、何やら彼女は渋い顔をしています。

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