ギルドスレッド
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Clans Nest
だが、歩き出す前に青年よりも一回り大きな手が青年の腕を掴んだ。
「おい、どこに連れてくつもりだ」
「……あ…」
見上げ、見知った顔に思わず声を上げる。
その後ろに仏頂面の彼女も見つけ、名前を呼ぼうとする。
が、その前に手が伸びてきて頭を思いっきり鷲掴まれた。
「この馬鹿子猫!勝手にいなくなるンじゃねェ!」
「……!?…は、はぐれたのはそっち!」
「うるせェ!どンだけ探し回ったと思ってる!」
「……探してたの?ずっと?」
「あァ?当たり前だろうが!なンだオマエ、喧嘩売ってンのか」
ますます強くなる手から逃れようと足掻く。
アルクがどうどうと宥め、緩んだ隙にアルクの後ろに逃げる。ふと見回すと青年の姿がない。
「……あれ…」
「…あ?さっきのヤツは?」
「ん?ああ、連れが見つかったならって去っていったぞ」
実際はビビって逃げたとも言うのだが…アルクはあえてそこは伏せておいた。別に伝える必要もないだろうし、二人も納得しているのだから言う必要はないだろう。
「あー、クッソ疲れた。もう買い物はやめだやめ。今日は帰って寝るぞ」
「ん、そうするか、明日でもいいし」
「…オイ、子猫早く来い。またはぐれたらどうする」
「……はぐれたのはそっち。あと子猫じゃない」
「はァ!?もう一回頭掴むぞコラァ!」
「いや、さすがにそれはないぞソフィー。はぐれたのはどう考えてもお前だからな」
「……そんな事はない。私ははぐれてない」
やいのやいのと言い合いながらも彼らは帰路につく。
ゆらゆらと、ゆらゆらと、三本の尾の影が揺れる。
上機嫌に、横並びで。
こうして、一つの騒動は幕を閉じたのだった。
Fin
「おい、どこに連れてくつもりだ」
「……あ…」
見上げ、見知った顔に思わず声を上げる。
その後ろに仏頂面の彼女も見つけ、名前を呼ぼうとする。
が、その前に手が伸びてきて頭を思いっきり鷲掴まれた。
「この馬鹿子猫!勝手にいなくなるンじゃねェ!」
「……!?…は、はぐれたのはそっち!」
「うるせェ!どンだけ探し回ったと思ってる!」
「……探してたの?ずっと?」
「あァ?当たり前だろうが!なンだオマエ、喧嘩売ってンのか」
ますます強くなる手から逃れようと足掻く。
アルクがどうどうと宥め、緩んだ隙にアルクの後ろに逃げる。ふと見回すと青年の姿がない。
「……あれ…」
「…あ?さっきのヤツは?」
「ん?ああ、連れが見つかったならって去っていったぞ」
実際はビビって逃げたとも言うのだが…アルクはあえてそこは伏せておいた。別に伝える必要もないだろうし、二人も納得しているのだから言う必要はないだろう。
「あー、クッソ疲れた。もう買い物はやめだやめ。今日は帰って寝るぞ」
「ん、そうするか、明日でもいいし」
「…オイ、子猫早く来い。またはぐれたらどうする」
「……はぐれたのはそっち。あと子猫じゃない」
「はァ!?もう一回頭掴むぞコラァ!」
「いや、さすがにそれはないぞソフィー。はぐれたのはどう考えてもお前だからな」
「……そんな事はない。私ははぐれてない」
やいのやいのと言い合いながらも彼らは帰路につく。
ゆらゆらと、ゆらゆらと、三本の尾の影が揺れる。
上機嫌に、横並びで。
こうして、一つの騒動は幕を閉じたのだった。
Fin
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歩きながらBriga=Crocutaは大きく欠伸をした。吐き出された息は本当に微かに酒の匂いが残っている。
常人なら気づかないそれを敏感に嗅ぎつけ、隣を歩いていたアルク・ロードは顔を顰めてみせた。
「まだ酒残ってんじゃねえか…寝てていいって言っただろ。いつも通りにさ」
「うっせェなァ。まだ眠くねェっての…くァあ…」
言いながらまた大きな口で欠伸をした彼女に呆れた視線を投げる。
しかし、アルクはそれ以上は何も言わず、自分達よりも少し後を行く少女に顔を向けた。
「ソフィー、大丈夫か?はぐれそうなら、手とか…」
「……子供扱いしないで。平気」
そう言ってソフィーと呼ばれた少女、Solum Fee Memoriaは無表情で答えた。
実際、アルクよりもバリガよりも遥かに生きている時が長い。が、見かけは十代半ばといった少女だ。事情を知らない人からすれば、どう見ても背伸びしている子供にしか見えない。
が、わざわざその事を言う人間はいなかった。偶然聞いていた人が微笑ましく思ったくらいで。
「にしても、確かに子猫じゃなくてもはぐれそうだな…なンだよこの人の量」
「市場なんてこんなもんだろ」
「………子猫じゃない。それにはぐれない。そこまでばかじゃない。はぐれるとしたら尻尾の方」
「あ?子猫だろ。つかはぐれるわけねェよ!」
「……すぐ吠える」
わざとらしく耳を塞いで見せるソフィーに大人げなく(実際一番年下なわけだが)唸るバリガ。
そんな二人をどうどうと宥めつつ、アルクは買う物を書いたメモを見る。
「…ええと、肉と、塩と胡椒と、あとは時間あったら手芸用品だろ。他は…」
「おい、酒は?」
「まだ呑むのか?昨夜も呑んでただろ」
「当たり前だろ。昨日は昨日、今日は今日」
「アル中め…」
「ンなモンになった覚えはねェな」
しれっと嘯く。
言うだけ無駄だ。分かっていても言ってしまうが。
「短い時間にしてくれよ、ソフィーの服も買わなきゃいけないんだから」
「あァ…確かにな。少なすぎるだろ」
「バリガに言われたくないかもしれないけどな」
「オレより少ねェだろ…オイ、子猫、希望とかあンのか?……おい?何黙ってンだよ」
後ろを振り向く。
が、そこには銀の髪を持つ少女はおらず。一瞬呆けた後、二人は揃ってため息をついた。
「…アイツ…どこ行きやがった…!!」