ギルドスレッド
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Clans Nest
【仄か】
「そっか、連れが二人いて、二人ともはぐれたんだ。大変だったね」
「………ん、困った二人」
その頃、ソフィーは青年と一緒に広場へ移動していた。
その両手には屋台で買った、というか買ってもらった串焼きや棒で串刺しの焼き魚が握られている。
座れる場所がある事とかなり人が行き交う場所であり、待ち合わせとしてもよく使われるので通るのでは、という彼の提案によるものである。
ソフィーもギルドが近くという事もあり親しみのある場所だ。食べ物の屋台が多いという情報も持っている。そして、ソフィーは空腹でもあった。
つまり、食べ物に釣られたわけである。
「……釣られてない。偶然」
「え?何か言った?」
「……なんでも」
そうだ、ちょっと空腹ではあったが別にそれが理由ではない。彼の言い分に納得したからである。半分以上聞いていなかったけど。
屋台をちょっと見て(凝視して)いたら買ってくれた。悪い人間ではないとソフィーは一人頷く。
本当は連れではなく、(彼ら曰く)家族なのだけど。
そこらはちょっと複雑というか説明が面倒だし、自分は家族というものがよく分かっていない。いた事がないから。
だから今は連れでいいのだ。間違ってるわけじゃない。
「どんな二人なの?」
「……どんな…」
ぱたり、ぱたりと尾を揺らして考える。どんなと言われると少しだけ難しい。
「……尻尾は、口が悪い。よく呑んでる。ワガママで子供」
「そ、それは…ええと、なんて言ったらいいのか…」
「……アルクは、手先が器用。顔は怖いけど。心配性」
「く、苦労してるんだね。なんだかすごく、うん、疲れそうだ」
「………でも、嫌いじゃない」
知らず知らずのうちに、ソフィーは微かに笑っていた。二人を思い出して。
その初めて見る笑顔に、青年はしばしの間見惚れていた。
「そっか、連れが二人いて、二人ともはぐれたんだ。大変だったね」
「………ん、困った二人」
その頃、ソフィーは青年と一緒に広場へ移動していた。
その両手には屋台で買った、というか買ってもらった串焼きや棒で串刺しの焼き魚が握られている。
座れる場所がある事とかなり人が行き交う場所であり、待ち合わせとしてもよく使われるので通るのでは、という彼の提案によるものである。
ソフィーもギルドが近くという事もあり親しみのある場所だ。食べ物の屋台が多いという情報も持っている。そして、ソフィーは空腹でもあった。
つまり、食べ物に釣られたわけである。
「……釣られてない。偶然」
「え?何か言った?」
「……なんでも」
そうだ、ちょっと空腹ではあったが別にそれが理由ではない。彼の言い分に納得したからである。半分以上聞いていなかったけど。
屋台をちょっと見て(凝視して)いたら買ってくれた。悪い人間ではないとソフィーは一人頷く。
本当は連れではなく、(彼ら曰く)家族なのだけど。
そこらはちょっと複雑というか説明が面倒だし、自分は家族というものがよく分かっていない。いた事がないから。
だから今は連れでいいのだ。間違ってるわけじゃない。
「どんな二人なの?」
「……どんな…」
ぱたり、ぱたりと尾を揺らして考える。どんなと言われると少しだけ難しい。
「……尻尾は、口が悪い。よく呑んでる。ワガママで子供」
「そ、それは…ええと、なんて言ったらいいのか…」
「……アルクは、手先が器用。顔は怖いけど。心配性」
「く、苦労してるんだね。なんだかすごく、うん、疲れそうだ」
「………でも、嫌いじゃない」
知らず知らずのうちに、ソフィーは微かに笑っていた。二人を思い出して。
その初めて見る笑顔に、青年はしばしの間見惚れていた。
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歩きながらBriga=Crocutaは大きく欠伸をした。吐き出された息は本当に微かに酒の匂いが残っている。
常人なら気づかないそれを敏感に嗅ぎつけ、隣を歩いていたアルク・ロードは顔を顰めてみせた。
「まだ酒残ってんじゃねえか…寝てていいって言っただろ。いつも通りにさ」
「うっせェなァ。まだ眠くねェっての…くァあ…」
言いながらまた大きな口で欠伸をした彼女に呆れた視線を投げる。
しかし、アルクはそれ以上は何も言わず、自分達よりも少し後を行く少女に顔を向けた。
「ソフィー、大丈夫か?はぐれそうなら、手とか…」
「……子供扱いしないで。平気」
そう言ってソフィーと呼ばれた少女、Solum Fee Memoriaは無表情で答えた。
実際、アルクよりもバリガよりも遥かに生きている時が長い。が、見かけは十代半ばといった少女だ。事情を知らない人からすれば、どう見ても背伸びしている子供にしか見えない。
が、わざわざその事を言う人間はいなかった。偶然聞いていた人が微笑ましく思ったくらいで。
「にしても、確かに子猫じゃなくてもはぐれそうだな…なンだよこの人の量」
「市場なんてこんなもんだろ」
「………子猫じゃない。それにはぐれない。そこまでばかじゃない。はぐれるとしたら尻尾の方」
「あ?子猫だろ。つかはぐれるわけねェよ!」
「……すぐ吠える」
わざとらしく耳を塞いで見せるソフィーに大人げなく(実際一番年下なわけだが)唸るバリガ。
そんな二人をどうどうと宥めつつ、アルクは買う物を書いたメモを見る。
「…ええと、肉と、塩と胡椒と、あとは時間あったら手芸用品だろ。他は…」
「おい、酒は?」
「まだ呑むのか?昨夜も呑んでただろ」
「当たり前だろ。昨日は昨日、今日は今日」
「アル中め…」
「ンなモンになった覚えはねェな」
しれっと嘯く。
言うだけ無駄だ。分かっていても言ってしまうが。
「短い時間にしてくれよ、ソフィーの服も買わなきゃいけないんだから」
「あァ…確かにな。少なすぎるだろ」
「バリガに言われたくないかもしれないけどな」
「オレより少ねェだろ…オイ、子猫、希望とかあンのか?……おい?何黙ってンだよ」
後ろを振り向く。
が、そこには銀の髪を持つ少女はおらず。一瞬呆けた後、二人は揃ってため息をついた。
「…アイツ…どこ行きやがった…!!」