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at no.9

夕陽のリビングルーム(1:1)

住んでみれば部屋の維持というものは存外に手間のかかるものだった。
そもそも掃除の習慣の無かったシラスの部屋は気づけば散らかってしまう。
いや、ソファーサイドに積まれた本も、テーブルに散らばったチョコレート、リーフポッドにティーカップ、束ねられたメモに羽ペンだって、更には床に寝かされてる冒険用のリュックサックとブーツに、ソファの上で丸められた毛布まで、彼に言わせればソファから手の届く『ちょうど良い』場所に配置されていたのだが……ふと思い直して独り言ちる。

「アレクシアの家の本のこと言えないや」

今日は家で夕食を一緒する約束をしている。
この有様を見せてしまったらしばらく笑われてしまう気がした。
読みかけの本に栞を挟むと意を決して立ち上がり、それでも彼女が来ることを思うといそいそと片付けに手を付ける。

ようやく整頓が済んだ、もとい、雑物を全て寝室に放り込んだ頃には出窓から入ってくる秋の西日がダイニングをオレンジに染めていた。


(アレクシアさんとの1:1のスレッドです)

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 チョコレートなら買いこんでるからお土産にどうぞ! 後で詰めたげる!

 残念……ハズレだった、アレクシアの力の源なのかなっと、ゴメン、冗談!
 ううん、ヘンなこと無いよ、好き嫌いしない方が良いもんね!
 好物があるなら知っておきたいって思っただけっ!

(席について内心恐る恐る反応を伺う……成果は上々だ! つられて自分も笑顔になって)

 へへーん、手仕事は得意って言ったろ、料理も似たようなもんだぜ!
 書いてある通りに作るだけなら楽勝だって!
 あはは、でもアレクシアの料理は適当っていうか色々と冒険しちゃってそうだね!
 それって大分ちいさな頃の話? それとも今みたく体調良くなってからかな。
 あっと、さあ召し上がれ!

(頂きますと一言、よく冷ましてから一匙スープを啜る)

 そうそう、パンがよく合いそうだなって思って買って来たんだ。
 温まるもの食べたくなるよね、俺も寒いのあんまり得意じゃないから。
 ちょっとそこまで喜んでもらえると思ってなかったけど、アレクシアが嬉しいならもっと腕を上げてみようかな。

(少し浮かれた笑みからやがて思いかえすように瞼を閉じて今度は苦笑してしまう)

 うん、そうだね。
 不思議とさ、前の生活してた頃はそこまで意識することも無かったんだ。
 自分に似合わしいだなんて思ってた。
 それよりも一人で毎日同じ場所に寝泊まりするのも身の置き所がない感じしてさ。
 きっと俺はまいってたんだろうなあ。

(見ればアレクシアも同じような顔、少し不思議に思ったけれど、皆も何か抱えているのだと納得して頷く)

 とっておきと言ってもローレットに喚ばれてから冒険した舞台に比べたら地味なもんだけどね。
 ただ街を見下ろせるっていうだけの……でもね、兄貴に教わった場所で、この前のラサのあいつ、ユリアンとも行ったことがあるの。
 おっと、だからと言ってアレクシアまであの二人みたくいなくなるのは勘弁してくれよ。

 ふっふー、別世界はもう懲りた……!
 キミが本当に戻って来ない気がして俺もうおかしくなりそうだったんだから!

 ――まあ、この住まいを決める切欠になったのは感謝しているけどね!

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