ギルドスレッド
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at no.9
聞いちゃいけない話だった、受け容れられなかった、頭が真っ白になっていった。
まだ何か喋り続けていたけど、俺は喚きながら兄貴に掴みかかっていった。
ハッとした時には、2人で揉みくちゃになって倒れていた、床に血が沢山広がっていって。
握ったナイフのヌルっとした感触はよく覚えてる。
急いで血を止めなくちゃ、それよりも医者を呼ぶべきだろうか。
俺はパニックになっていたけど、背後に人の気配を感じて凍り付いたよ。
……母さんだった。
大声に反応したのかな。
でもまだ意識があるだなんて思わなかった、立って歩くなんて信じられなかった。
まるで死体みたいな姿が一歩動くたびに揺れて、こちらに近づいてきてさ。
俺は気圧されてしまって、尻もちをついたまま後退って……何とか声を絞り出した。
あの時、何を伝えようとしたのか自分でも分からない。
何かを訴えようとしたのか、それとも謝ろうとしたのか。
ただ、お母さんって呼んだんだ。
でも母さんは真っすぐに兄貴のところまで歩くと寄り添うように倒れてしまった。
こちらを一目見ることもなかったよ。
そうしたら、ボソボソと何かを呟いてるのが聞こえてきて。
耳を澄ませればそれは子守唄だった。
もう何だか現実じゃないみたいで、他人事のようにポカンとして見ていた。
遠くで誰かが叫んだ気がしたけれど、気づけばそれは自分の声だった。
きっと俺は2人が羨ましかったのだと思う。
それで……よほど酷いことをしたのだろうね。
そこから暫くのことは頭から放り捨ててしまったみたい。
気づいたら街の外れで膝を抱えてた。
……ゴメンね、気分悪くなったかな。
もう少し、もう少しだけ話を聞いてよ。
ローレットに来るまではずっとそのことに蓋をして生きていた。
考える余裕が無かったんだろうね。
それがさ、召喚を受けてから、夢に見るようになったんだ。
あの日の母さんのこと、母さんの目。
確かに俺を反射していて、けれど俺なんてそこにいないかのようで。
俺が殺されてやれていたら、母さんは俺のことをずっと覚えていてくれたかな。
ううん、そもそも俺なんて生まれて来なければ2人とも違った生き方を見つけられたのかも。
そんな拗けた考えをしたこともあったよ。
(澱みかけた思考を振り払うように声の調子をあげてから、ニッと笑って)
勿論、今はそんなことばかり思っちゃいないけどね。
まだ何か喋り続けていたけど、俺は喚きながら兄貴に掴みかかっていった。
ハッとした時には、2人で揉みくちゃになって倒れていた、床に血が沢山広がっていって。
握ったナイフのヌルっとした感触はよく覚えてる。
急いで血を止めなくちゃ、それよりも医者を呼ぶべきだろうか。
俺はパニックになっていたけど、背後に人の気配を感じて凍り付いたよ。
……母さんだった。
大声に反応したのかな。
でもまだ意識があるだなんて思わなかった、立って歩くなんて信じられなかった。
まるで死体みたいな姿が一歩動くたびに揺れて、こちらに近づいてきてさ。
俺は気圧されてしまって、尻もちをついたまま後退って……何とか声を絞り出した。
あの時、何を伝えようとしたのか自分でも分からない。
何かを訴えようとしたのか、それとも謝ろうとしたのか。
ただ、お母さんって呼んだんだ。
でも母さんは真っすぐに兄貴のところまで歩くと寄り添うように倒れてしまった。
こちらを一目見ることもなかったよ。
そうしたら、ボソボソと何かを呟いてるのが聞こえてきて。
耳を澄ませればそれは子守唄だった。
もう何だか現実じゃないみたいで、他人事のようにポカンとして見ていた。
遠くで誰かが叫んだ気がしたけれど、気づけばそれは自分の声だった。
きっと俺は2人が羨ましかったのだと思う。
それで……よほど酷いことをしたのだろうね。
そこから暫くのことは頭から放り捨ててしまったみたい。
気づいたら街の外れで膝を抱えてた。
……ゴメンね、気分悪くなったかな。
もう少し、もう少しだけ話を聞いてよ。
ローレットに来るまではずっとそのことに蓋をして生きていた。
考える余裕が無かったんだろうね。
それがさ、召喚を受けてから、夢に見るようになったんだ。
あの日の母さんのこと、母さんの目。
確かに俺を反射していて、けれど俺なんてそこにいないかのようで。
俺が殺されてやれていたら、母さんは俺のことをずっと覚えていてくれたかな。
ううん、そもそも俺なんて生まれて来なければ2人とも違った生き方を見つけられたのかも。
そんな拗けた考えをしたこともあったよ。
(澱みかけた思考を振り払うように声の調子をあげてから、ニッと笑って)
勿論、今はそんなことばかり思っちゃいないけどね。
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錆びた門を軋ませて一歩その敷地に踏み入れば、朽ちて色を失った屋敷とは裏腹に、もはや庭木とも呼べぬ植物達に溢れる生命力を夜の闇の中でも確りと感じられた。
「孤児院だったらしいぜ、此処。俺がガキの頃からこんなだけど……っと」
シラスは屋敷の裏口の方へ回ると、鞄から鍵束を取り出して見せる。
盗んだ、譲り受けた、不正に複製した。
その数は少年が幻想の街を彷徨う足跡そのものだ。
やがて一つを屋敷の戸に差し込んで捻ればカチリとした金属音。
ほっと小さな溜息をひとつ。
屋敷に入ると寂れた空間が天窓から降り注ぐ月の光に照らされていた。
床にはまばらに朽ちかけたインテリア、幼児用の玩具らしい人形や木馬などが部屋の隅に寄せられている。
そんなヒトの残り香を包み込むように、木々の緑がもう屋内まで及ぼうとしていた。
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