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at no.9

緑の廃屋(1:1)

王都の市街とスラムの中間地点、通り一本を隔て街並みの変わる境界線上、そこには覆い茂る緑と共にひっそりと佇む洋館らしき建造物があった。
錆びた門を軋ませて一歩その敷地に踏み入れば、朽ちて色を失った屋敷とは裏腹に、もはや庭木とも呼べぬ植物達に溢れる生命力を夜の闇の中でも確りと感じられた。

「孤児院だったらしいぜ、此処。俺がガキの頃からこんなだけど……っと」

シラスは屋敷の裏口の方へ回ると、鞄から鍵束を取り出して見せる。
盗んだ、譲り受けた、不正に複製した。
その数は少年が幻想の街を彷徨う足跡そのものだ。

やがて一つを屋敷の戸に差し込んで捻ればカチリとした金属音。
ほっと小さな溜息をひとつ。

屋敷に入ると寂れた空間が天窓から降り注ぐ月の光に照らされていた。
床にはまばらに朽ちかけたインテリア、幼児用の玩具らしい人形や木馬などが部屋の隅に寄せられている。
そんなヒトの残り香を包み込むように、木々の緑がもう屋内まで及ぼうとしていた。

(アレクシアさんとの1:1のスレッドです、他の方の書きこみはご遠慮ください)

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うん、悪い夢は今もよく見るよ、毎日って程じゃないけど。
初めの頃は夢の中で現実みたく感じてたけど、今は夢だって直ぐ分る、でも覚めないんだ。
後で寝言がうるさかったらゴメンね、前にもそれで迷惑かけたことあるから!

(悪戯を見つかったような表情で小さく舌を出し)

話したくないっていうか、こういうの何か情けなくって。
格好悪いし、笑われたらどうしようって。
でも、ありがとう……聞いてもらえたら、言葉にしてみたら、それで片付く気持ちもあるかもね。

(ソファを立って笑って見せる様子に、分かってるさと言いたげに頷くが、やがて表情を曇らせて姿勢を崩す様にハッとして)

アレクシア!?

(咄嗟に駆け寄り支えるようにその身に手を添え、俯く横顔を心配そうに覗きこみ)

馬鹿、全然……分からなかったよ、こんな……。

(こんな体で今まであんな戦い方を、そう言いかけた言葉を飲み込む。彼女が必死に重ねてきたものを汚してしまう気がしたから)
(夢で見た憧れと諦めの入り混じった笑顔が頭をよぎって胸が絞めつけらえる思いがした)

話してくれたら、俺だって……何も出来ないかも知れないけど、それでもさ!

……ううん、話してくれてありがとう、馬鹿だなんて言ってゴメン。
打ち明けるのって勇気いるよね……今日は体は平気なの?

無理しないでとは言えないけど、助けが要るときは俺には教えてね。
アレクシアが辛いのを見ているだけなのは悔しいよ。

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