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at no.9

緑の廃屋(1:1)

王都の市街とスラムの中間地点、通り一本を隔て街並みの変わる境界線上、そこには覆い茂る緑と共にひっそりと佇む洋館らしき建造物があった。
錆びた門を軋ませて一歩その敷地に踏み入れば、朽ちて色を失った屋敷とは裏腹に、もはや庭木とも呼べぬ植物達に溢れる生命力を夜の闇の中でも確りと感じられた。

「孤児院だったらしいぜ、此処。俺がガキの頃からこんなだけど……っと」

シラスは屋敷の裏口の方へ回ると、鞄から鍵束を取り出して見せる。
盗んだ、譲り受けた、不正に複製した。
その数は少年が幻想の街を彷徨う足跡そのものだ。

やがて一つを屋敷の戸に差し込んで捻ればカチリとした金属音。
ほっと小さな溜息をひとつ。

屋敷に入ると寂れた空間が天窓から降り注ぐ月の光に照らされていた。
床にはまばらに朽ちかけたインテリア、幼児用の玩具らしい人形や木馬などが部屋の隅に寄せられている。
そんなヒトの残り香を包み込むように、木々の緑がもう屋内まで及ぼうとしていた。

(アレクシアさんとの1:1のスレッドです、他の方の書きこみはご遠慮ください)

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(目を輝かせた様子に、自分も頬を少し緩ませて)

すごいでしょ、外から見たよりも中はマトモでさ。
子供用の部屋だろうけど、皆で使っていたか、それとも部屋割りがあったか。
最後に使っていた人も今はもう大人になってるはずだね。

はは、本当に幽霊が出たら次に使うの怖くなるから止めてよ。
アレクシアって普段からよくそういうのとお話したりするの?
ひょっとしてツリーハウスに大勢住んでいたりなんかして。

(肩掛けのカバンを膝の上で開き、その中身を漁りながら頷いて)

そう、いつもは適当に毛布に包まって横になってるよ。
俺は目をつむれば大体どこでも眠れるからさ。
今日は案内できそうな場所の中でも綺麗なところ選んだつもり。
他はご想像の通り、もっと汚れてたり、臭かったりするの多いよ。

ここはね、昔から空き家になっていてさ。
一月か二月に一度だけ管理の人が来るって知っていたから。
いよいよこんな場所に世話になり始めた頃、そいつから鍵を……。
えっと、こっそり借りた……そんな感じ。

(質問に待ってましたという表情で視線を返すが、目を合わせていると、スリ盗ったとは言えず、言葉を濁して)

それから暫くしても鍵が変わっていなかったからさ。
ありがたくお邪魔してるってわけ。
この手の場所は、鍵が変わったら当分は寄り付かないようにしてる。
しっかりと管理されている場所は怖いもの。

他にもさ、昔からこの辺りに住んでるから、それで寝床の当たりをつけて試していったり、知り合いに助けてもらったりとかね。

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