古い樫のテーブルにランプを置いて。

砂漠よりずっとずっと賑わっている街の宿屋の夜に、借りた部屋へ戻りたがらない幾人たち。

ヤズィードもこの時、その一員だった。

飲めや食べやで気持ちもふくれ、出会った誰かに自分の旅の話を聞かせている。

だってあの砂漠を歩いて抜けたのだ。マジで水が尽きるかと思った。

というわけで、そんな与太話がつきものの、宿屋の酒場の与太話。

ふっふっふ、良い質問ねヤズィード！別れた後に出会った旅の方に道を聞いたら、道を間違えていたことに気付いたの。それで、その方と一緒に道を引き返して、此処に辿り着いたのですわっ。そうしたら、こうして苦難を共にした方と巡り会えるなんて、これはもう神の思し召し！お酒を奢ってもらいなさいという、神のお告げに違いなくってよ！(運ばれてきたビールを一気に喉へと流し込み、店員さんにジョッキを返す)ビールもう一杯下さる？支払いはこの甲殻類の方で。