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樹上の村

アレクシアの日記 2冊目

表雨に濡れる紫陽花が表紙に描かれた日記帳が置かれている──

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「ゴールデン・ドロップの祝杯」

サーカスに勝った後、人混みやらなんやらでちょっと抜け出したいなと思って、マルゴーっていう貴族さんについていった先でまた祝賀会みたいなのに参加することになっちゃったんだよね。
祝ってくれるのは嬉しいけれど、あの時はそこまで元気もなかったんだよね。
シラス君もいたから、食べるのもそこそこにテラスでちょっとお話してたよ。

テラスに出て、シラス君に言われて初めて空の星が綺麗だって事に気付いたんだ。
それまでずっといろいろ考え事をしてて、そこまで全然気が回ってなかったから。
空が特別綺麗に見えるなら、また頑張っても良いかなって言っていたけれど、そんな風に気付く事が出来るのは素敵だなって思ったよ。

そういう話を聞いてたら何だかふと自分のことも話したくなって。
これまで、色々と必死で、不安だったんだって事を打ち明けた。
「アンタでも不安に思うことってあるんだね」なんて言われて、あの場ではちょっと怒ってみせたけど、そう思われるなら良かったな、とも思ったんだ。
だって、人前ではいつもちゃんと笑顔でいたいから、他人に不安を与えたくないから。

……最後に、あの夜、あの星空を見られなかった人……サーカスとの戦いで犠牲になった人はたくさんいた。
そういう犠牲をなくすためにも、これからももっともっと頑張らないと思ったんだって話した時、シラス君は言葉少なに頷いただけだったけれど……
……何を思ってたんだろうな。

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