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樹上の村
2019/8/23(1/2)
<ザントマン・ログ>
砂漠の中に、佇む美しき泉。
生命の源たる清廉を十分に湛え、萌ゆる緑にさえ恵まれた――砂漠に咲いた一輪の花。
著名な詩人が夢幻と称した世界有数の美しき都こそ、ラサの誇る『夢の都』ネフェルストである。
平時よりは僅かに浮足立った――騒がしさを増した様子のこの場所に、踊るような足取りで訪れた少女には竜にも似た立派な角が生えていた。角のみならず尾を揺らして歩む彼女の姿を見てもサンドバザールの面々は『旅人(ウォーカー)』だと認識することだろう。彼女の姿は一般に知られる『純種』からは遠く、旅人とするならばそう珍しいものでも無い。
つまり、その場に立つ『赤犬』ディルクの一人を除いては旅人とだけ認識するのが当然正しい。
「ハロー、ディルク。何だか、タイヘンな事になってるそうじゃない?
わたしもワイバーンたちが大騒ぎしてるみたいだから見に来たのだけど」
ひらひらと手を振った少女、琉珂の姿をその両眼に映し込みディルクは大仰な程に溜息をついた。
「……この面倒な時に来なくったっていいだろ」
「ツレないこと言うのね」
つんと唇を尖らせた流珂。凡そその反応から『どういう状況なのかを説明しろ』と言っているのだろう。
現在、ラサは隣国アルティオ=エルムとの間で一つの事件を抱えていた。
深緑に住まう『永遠に美しい幻想種』の連続拉致事件が起きている。
「犯人は? どっかのクズ?」
「『ザントマン』とやら――
犯人が深緑の子守歌や御伽噺に出てくる存在の仕業だって言われて納得できるか?」
「できないわね」
連続拉致事件が発生してからというもの、特異運命座標が幻想、ラサ、深緑と三国を股にかけての調査を行った。
得られた情報というのが深緑の多くの民の間で知れ渡っている御伽噺の存在『ザントマン』と呼ばれる存在がこの拉致事件にかかわっているという事であった。
「ええっと、わたしったらドラゴンの居眠り並に世情に疎い方の女の子なんだけれど、分かる様に言ってくれない?」
<ザントマン・ログ>
砂漠の中に、佇む美しき泉。
生命の源たる清廉を十分に湛え、萌ゆる緑にさえ恵まれた――砂漠に咲いた一輪の花。
著名な詩人が夢幻と称した世界有数の美しき都こそ、ラサの誇る『夢の都』ネフェルストである。
平時よりは僅かに浮足立った――騒がしさを増した様子のこの場所に、踊るような足取りで訪れた少女には竜にも似た立派な角が生えていた。角のみならず尾を揺らして歩む彼女の姿を見てもサンドバザールの面々は『旅人(ウォーカー)』だと認識することだろう。彼女の姿は一般に知られる『純種』からは遠く、旅人とするならばそう珍しいものでも無い。
つまり、その場に立つ『赤犬』ディルクの一人を除いては旅人とだけ認識するのが当然正しい。
「ハロー、ディルク。何だか、タイヘンな事になってるそうじゃない?
わたしもワイバーンたちが大騒ぎしてるみたいだから見に来たのだけど」
ひらひらと手を振った少女、琉珂の姿をその両眼に映し込みディルクは大仰な程に溜息をついた。
「……この面倒な時に来なくったっていいだろ」
「ツレないこと言うのね」
つんと唇を尖らせた流珂。凡そその反応から『どういう状況なのかを説明しろ』と言っているのだろう。
現在、ラサは隣国アルティオ=エルムとの間で一つの事件を抱えていた。
深緑に住まう『永遠に美しい幻想種』の連続拉致事件が起きている。
「犯人は? どっかのクズ?」
「『ザントマン』とやら――
犯人が深緑の子守歌や御伽噺に出てくる存在の仕業だって言われて納得できるか?」
「できないわね」
連続拉致事件が発生してからというもの、特異運命座標が幻想、ラサ、深緑と三国を股にかけての調査を行った。
得られた情報というのが深緑の多くの民の間で知れ渡っている御伽噺の存在『ザントマン』と呼ばれる存在がこの拉致事件にかかわっているという事であった。
「ええっと、わたしったらドラゴンの居眠り並に世情に疎い方の女の子なんだけれど、分かる様に言ってくれない?」
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何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。