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樹上の村

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街角の更新ログ

何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

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2019/8/17(1/3)

Bの奴隷商
 金属の音が鳴り響く。鎖か何かが擦れる音だ。
 暗い。光など必要ないが如きそこは、地下だろうか? 少なくとも外の様子は窺えない。
 揺らめく蝋燭の光が点々と……その周囲にあるのは古びた牢だ。中からはすすり泣く声が聞こえて――
「けっ、うるせぇぞ! いつまでも泣いてるんじゃねぇ!」
 怒号と共に衝撃。それは鉄格子を蹴りつけた音。
 青い肌にふくよかな体格を持つ彼の名は、ブルース・ボイデル。本名をブルー・ボーイ。
 B.B.とも称される彼は、とある地域にて己が山賊団を率いる首領でもあるのだが――最近ではラサや深緑で問題視されている『幻想種の奴隷売買』にも手を染めていた。いや正確にはどっぷりと手を漬けている、と言った所か……なにせ。

「――あまり『商品』を脅すな。活きがよくなければ満足しない顧客もいるのだからな」
「へへへ、こりゃ失礼しました……『ザントマン』殿」

 此度。奴隷売買の黒幕と目されている『ザントマン』と直接の関わりを持っているのだから。
 全身を防塵用の布、だろうか。とにかくマントに身を包んだザントマンの風貌は見えない。
 が、本人ではあるのだろう。ブルーは彼のすぐ横を歩き、諂うように言葉を交わしている。
「売り上げは順調のようだな」
「『永遠に美しい幻想種』――はッ。そら買い手もいるものですよ。特に深緑に引き籠っている奴らなんて世俗の手垢が付いてない……そういう所に価値を見出す輩も多くて、銭に成る事成る事。山賊家業が馬鹿らしくなってきますわなぁ!」
 手を叩く。笑顔と共に豪胆に笑って、奴隷売買様様とばかりに……しかし口調とは裏腹にブルーにとっては本音二割、世辞八割だった。
 ラサ以外に中々交流すらしない深緑の幻想種には確かに貴重品ともいうべき価値がある。大きな利益を上げているのは確かだし、売られていった奴らが向こうで『どう』扱われてようが知った事ではないが――それはそれとして相応の『危険』も付き纏ってきているのだ。
 聞く所によればラサの長である『赤犬』のディルクが動き出し、伴って国境を越えて動くローレットも確認されているとか。各地に調査の手が伸びるのもそう遠くはないだろう。美味しい所だけ味わってまた山賊家業へと……適度に手を引くべきか? 一人か二人、戦利品代わりに頂戴して……

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