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樹上の村

街角保管室

街角の更新ログ

何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

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2019/8/2(1/2)

暁と黄昏の境界線
 これは、ずっとずっとずっと、ずーっと、昔の話。
 あるところに、貴族がおりました。
 貴族は人民を慈しみ、憐れみ、多くの人々を愛し、外に威を以って賊を下しました。
 ――あぁ、けれど、惜しきかな。
 彼はある時、戦いに敗れて死んでしまいました。
 不幸にも、後継者であった嫡男と一緒に。

 ――――残された多くの一門は、争い始めます。そう、どこにでもある、栄華盛衰の一頁。
 唐突な指導者と後継者の死が産んだ血みどろの内戦の果て。

 ――彼らはただ二つだけ、家名を残すことに相成ったのです。
 もちろん、とっくの昔に嘗てのような栄華など望めないほど小さく。
 けれど、残滓の存在は、尽きることない火種を燻ぶらせたまま、静かにそこにあったのです。



 天空には厚く立ち込めた雲が立ち込めていた。
 曇天を差す微かな西日は、静かに佇む古城を照らしだす。
 その城の上層部、西日に照らされて見上げる民衆を見下ろして、男は静かに立っている。
 黒を基調として、装飾の少ない燕尾服を着込み、まるで、この地を治めることを当然のように伸びた背は、彼から自信を感じさせる。
 頭を抱え、下手をすれば傷を負いかねないほど強く手に力をいれて、オレンジがかった白髪交じりの髪をかき上げる。こらえ切れない程の憤懣を胡乱な瞳に残し。
「なぜだ――なぜ我がこのような目に合わねばならん」
 ――男はそう呟いた。

 ――眼下にあるのはゴミだ。

 ――歩くゴミ、気付けば生えるゴミだ。

 ――腹立たしい。何をそうも見るというのだ。

 ――恥ずかしい。愚かしい。憎たらしい。

 ――どのゴミの目も、一様にして輝いている。

「ここは、我が一族の屈辱の地なるぞ――――」
 轟――と、不自然になった音が、激情に乗せられて室内に反響し、古ぼけた絵画を、貴重なりし文化財を破砕する。
 ――けれど、そんなものに意味はないのだ。
 失われた文化になど意味はなく。汚された栄華は消し去った。
 ただ、これより先にあるは、嘗ての栄光のみ。
「――おのれ、全てはあの小娘のせいか。何もできぬ何もなせぬ、
 ただゴミと戯れるだけの小娘が。我が五十年の悲願を邪魔しようとは」
 苛立ちを隠さず、男は白いグローブを嵌め直して、握りしめる。
「まぁ――良い。ローレットなる者に頼る愚かな小娘など、もろともに屠ればよい。

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