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樹上の村

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街角の更新ログ

何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

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2019/7/11

拡散する暗黒、そして『冠位傲慢』
 ベアトリーチェ・ラ・レーテが人の像を喪った時。
 彼女より噴き出した闇は一帯に拡散し、空を覆った。
 黒霧が自身とは真逆の属性を帯びている事をイレギュラーズ達は本能的に察していた。
 即ちそれは<滅びのアーク>を媒介する意志を持った呪いである。
 彼女は『強欲』だから。
 滅びても、世界を諦めない。愛を諦めない。
『胡乱と思考さえ持たない悪意』が人智の外より世界を蝕む。
「……っ……!」
 息を呑んだのは誰だっただろうか。
 戦場の誰もが疲労困憊で余力を持ち得ない。
 形を失った悪意がこれより何を始めても、阻止する術は無い――



 ……だが、そんな『彼女』を冷然と見つめる者が居た。
「……………」
 闇の空より眼窩の全て、眼窩の愚かを見下して。
「……塵芥に敗れるに飽き足らず、アークをばら撒く等とは。いよいよもって『冠位』の面汚しめ」
 吐き捨てた男――ルスト・シファーこそ『真の傲慢』。
 彼は同属の――認めてはいないのだが――敗退にこの上なく憤慨していた。
<滅びのアーク>を無駄に垂れ流す事は許されない。
 さりとて、天よりも高い彼のプライドは『不肖の妹』の『食いさし』風情を相手にする事も許さない。
 ルスト・シファーは神経質に怒り、苛立ち、魔性を纏い、解放する。
「せめてこれは感謝するがいい、ベアトリーチェ。イノリはこれを望むだろうさ」
 静かな嘲笑と裏腹に世界は軋み、鳴動し、『誰もそうと知らないままに捻じれて歪む』。
 大いなる力を以って、世界に拡散した闇を――唯の一撃で消し飛ばした。



 拡散した闇が突然消滅したのはイレギュラーズにとって不可思議極まる出来事であった。
 絶体絶命に次ぐ絶体絶命、されど残されたのは静寂のみ。
「終わったのか……?」
 思わず問うてしまう程に懐疑的な一言。
 答える者は誰も無いが――それ以上の異変は何処にも、何も起こらない。
 故にこれは終わりだった。
 決戦の最中、エルベルト・アブレウの勢力が姿を消した時点で。
 今日は――フォン・ルーベルグを襲った史上最大の厄災は、きっともう『おしまい』だった。


<冥刻のエクリプス>ベアトリーチェ・ラ・レーテにて『冠位強欲』が撃破されました!
 フォン・ルーベルグ決戦はイレギュラーズの勝利です!

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