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樹上の村
2019/7/2(2/2)
――シリウスは、この聖都を脅かそうというのですね――
それも、自身の前に姿を現す事が出来ないような事情を帯びて。
答えぬ副官はルビアに再度避難を薦める。しかし彼女はこれに頷かなかった。
せめてと護衛についた副官は外で何人かの兵を従えアークライト邸を守っている。
故にこの場所はフォン・ルーベルグの中でもかなり安全な方だというのに。
「本当に、酷い有様」
怒号が、悲鳴が、混乱の喧騒が耳の奥から離れない。
聖都は動乱に揺れ、聖騎士団が敗れれば――全ては終わってしまうのだろうと。
確信めいた予感がある。
(でも……)
でも、それでも。
ルビアはこの場所を離れまい。
かつて夫の愛したこの国と戦場へ赴いた息子を信じて。
それは信頼であり、感傷であり、最後に少しの意趣返しでもあった。
「私に逢いに来てくれるのでしょう?」。自分さえ信じられぬ嘘に塗れて。
再会叶わなかった愛しい人へ向ける、拗ねた彼女の――精一杯の。
――シリウス。嗚呼、シリウス。私は怒っているのです。
たとえどんな事情があったとて、どんな姿であったとて、私の願いはずっと一つだったのに。
貴方が戻ってきてくれるなら、どんなに危険だって――他に何も要らなかったのに。
紅の花はその花弁に僅かな露を遊ばせた。
滲んだ世界に揺蕩ったその呼び声は――きっともう永遠に届かない。
<リゲル・アークライト (p3p000442)の関係者ルビア・アークライト>
※ネメシスの運命を左右する決戦が行われています……!
――シリウスは、この聖都を脅かそうというのですね――
それも、自身の前に姿を現す事が出来ないような事情を帯びて。
答えぬ副官はルビアに再度避難を薦める。しかし彼女はこれに頷かなかった。
せめてと護衛についた副官は外で何人かの兵を従えアークライト邸を守っている。
故にこの場所はフォン・ルーベルグの中でもかなり安全な方だというのに。
「本当に、酷い有様」
怒号が、悲鳴が、混乱の喧騒が耳の奥から離れない。
聖都は動乱に揺れ、聖騎士団が敗れれば――全ては終わってしまうのだろうと。
確信めいた予感がある。
(でも……)
でも、それでも。
ルビアはこの場所を離れまい。
かつて夫の愛したこの国と戦場へ赴いた息子を信じて。
それは信頼であり、感傷であり、最後に少しの意趣返しでもあった。
「私に逢いに来てくれるのでしょう?」。自分さえ信じられぬ嘘に塗れて。
再会叶わなかった愛しい人へ向ける、拗ねた彼女の――精一杯の。
――シリウス。嗚呼、シリウス。私は怒っているのです。
たとえどんな事情があったとて、どんな姿であったとて、私の願いはずっと一つだったのに。
貴方が戻ってきてくれるなら、どんなに危険だって――他に何も要らなかったのに。
紅の花はその花弁に僅かな露を遊ばせた。
滲んだ世界に揺蕩ったその呼び声は――きっともう永遠に届かない。
<リゲル・アークライト (p3p000442)の関係者ルビア・アークライト>
※ネメシスの運命を左右する決戦が行われています……!
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何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。