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樹上の村
2019/7/2(1/2)
紅の花
聖都が平素の姿を失っている事は明らかだった。
見た事も無い位に世界はざわめき、この戦争に無事に世界を保つ心算が何処までも明らかだった。
(……本当に、酷い有様)
ルビア・アークライトの元を『使者』が訪ねたのは暫く前の出来事だった。
使者はかつて夫と共に姿を消した男は、彼の副官を務めた一人の騎士だった。
――間もなく聖都には危険が迫りましょう。私は御身を任された者です。万に一つの危険も及ばぬよう。
来訪は余りにも突然で、言葉は突拍子も無かった。
だが、随分と暫く振りに彼の顔を見た時、彼の声を聞いた時、彼の言葉を理解した時。
『或いは、ルビアは概ねの真実を理解してしまっていたのかも知れなかった』。
――貴方はどうしてここに。
――一体、誰に頼まれたのでしょうか。
――あの人は、シリウスはこの近くに?
『彼』が聖都を――自身の元を訪れないのだとしたらば、そこには確かな理由があるだろう。
数える程しか思いつかない理由を、可能性の悉くをルビアが否定出来なかったのは、彼女が強く聡い女性だからである。
問いに苦渋の表情を浮かべ、言葉を悩む副官にルビアは苦笑いを禁じ得なかった。
彼はシリウスの生存を否定せず、同時に自身に語る術を持っていなかった。
どんなに信じたくない事実であったとしても、除外された可能性の末に残るのが真実ならば、それは――
紅の花
聖都が平素の姿を失っている事は明らかだった。
見た事も無い位に世界はざわめき、この戦争に無事に世界を保つ心算が何処までも明らかだった。
(……本当に、酷い有様)
ルビア・アークライトの元を『使者』が訪ねたのは暫く前の出来事だった。
使者はかつて夫と共に姿を消した男は、彼の副官を務めた一人の騎士だった。
――間もなく聖都には危険が迫りましょう。私は御身を任された者です。万に一つの危険も及ばぬよう。
来訪は余りにも突然で、言葉は突拍子も無かった。
だが、随分と暫く振りに彼の顔を見た時、彼の声を聞いた時、彼の言葉を理解した時。
『或いは、ルビアは概ねの真実を理解してしまっていたのかも知れなかった』。
――貴方はどうしてここに。
――一体、誰に頼まれたのでしょうか。
――あの人は、シリウスはこの近くに?
『彼』が聖都を――自身の元を訪れないのだとしたらば、そこには確かな理由があるだろう。
数える程しか思いつかない理由を、可能性の悉くをルビアが否定出来なかったのは、彼女が強く聡い女性だからである。
問いに苦渋の表情を浮かべ、言葉を悩む副官にルビアは苦笑いを禁じ得なかった。
彼はシリウスの生存を否定せず、同時に自身に語る術を持っていなかった。
どんなに信じたくない事実であったとしても、除外された可能性の末に残るのが真実ならば、それは――
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何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。