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樹上の村

街角保管室

街角の更新ログ

何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

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2019/6/20(4/4)

「ふふ」
 赤い唇を三日月の形に歪めたベアトリーチェは今一度リンツァトルテを眺め回した。
 先の仕掛けでは父親(イェルハルド)やお節介(シリウス)と出会わせた仕掛けの縁もあるが……
 彼自身は大した力も持たない貧相なる騎士。唯の人間、若造、未熟者――やはり自分の脅威には成り得ない。成る筈が無い。
(ならば、こんなお遊びも良いでしょう)
 魔種ならぬ者は自分達の力を思い違えている事だろう。
 いや、より正しく言うならば『煉獄篇冠位』を『魔種如き』の延長程度に考えているに違いない。
 余りにも愚か、余りにもそれは退屈だ。
 もし仮に彼女が慕うイノリがこの話を聞いたなら「悪い癖だ」と眉を顰めただろう。
 彼女の劇を高見の見物するルストならば「下郎が私に望むな」とこの願いを切り捨てたに違いない。
 だが、彼女はベアトリーチェ。『強欲』のベアトリーチェ・ラ・レーテ。
 愉快な事は見過ごせない。愛も憎しみも、生も死も。
 演出も物語(ドラマ)も十分に、全てを手の内に得ずにはいられない。
「ならば、貴方は貴方の為したいように為せばいい。ええ、私は少なくともそれを止めますまい。
 最高の席で待ち、最高の舞台に登り、やがて本懐を遂げなさい。遂げさせて差し上げましょう。
 その先に何を得るかは――その後考えれば宜しい事!」
『目につく一つとて諦めきれない女』の結論は余りに単純だ。歓喜と愉悦のままに声を昂ぶらせた。
 麗しき貴婦人は月の狂気を一身に浴びて。
 今夜、美しく、気高く、そして何処までも下品にその肢体を遊ばせている。

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