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樹上の村
2019/6/20(3/4)
真っ直ぐに自身を見据えて言ったリンツァトルテとベアトリーチェの視線が絡む。
数秒の時間はその何倍にも感じられ、緊張感は否が応無く高まった。
だが、大笑。そう長い時間を置かぬ内にベアトリーチェは高く笑い声を上げ始めていた。
「ひょっとしたら、これもシリウスの入れ知恵かしら。奇妙な程に『私という女』を言い当てて。
ええ、そうですわ。私は『欲望』が大好き。どんなものも、どれだけ無理なものであろうとも。
隠せない感情が、生の欲望が、焦がれる復讐心が、その『強欲』が――大好きですのよ。
ええ、ええ。貴方がそれを望むならば、私はどうしても否定出来ません。
貴方が国を呑み、壊そうと云うならば――これ程愉快な話は他にないではありませんか!」
繰り返すが、兄の如き傲慢は絶大なる魔種故の『当然』である。リンツァトルテ如き、彼女にすれば唯の羽虫。しかしその羽虫は彼女の愉悦を満たすだけの『キャスト』であった。
劇作を気取り、姦しい月光劇場を演出してきた葬送の女にとってこれは確かに福音だった。
真っ直ぐに自身を見据えて言ったリンツァトルテとベアトリーチェの視線が絡む。
数秒の時間はその何倍にも感じられ、緊張感は否が応無く高まった。
だが、大笑。そう長い時間を置かぬ内にベアトリーチェは高く笑い声を上げ始めていた。
「ひょっとしたら、これもシリウスの入れ知恵かしら。奇妙な程に『私という女』を言い当てて。
ええ、そうですわ。私は『欲望』が大好き。どんなものも、どれだけ無理なものであろうとも。
隠せない感情が、生の欲望が、焦がれる復讐心が、その『強欲』が――大好きですのよ。
ええ、ええ。貴方がそれを望むならば、私はどうしても否定出来ません。
貴方が国を呑み、壊そうと云うならば――これ程愉快な話は他にないではありませんか!」
繰り返すが、兄の如き傲慢は絶大なる魔種故の『当然』である。リンツァトルテ如き、彼女にすれば唯の羽虫。しかしその羽虫は彼女の愉悦を満たすだけの『キャスト』であった。
劇作を気取り、姦しい月光劇場を演出してきた葬送の女にとってこれは確かに福音だった。
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何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。