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街角の更新ログ

何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

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2019/6/20(1/4)

Dies Irae
 運命の綾は時に複雑怪奇を織り成す事もある。
 静謐なる夜に訪れる不測も『青天の霹靂』と呼ぶべきか。
 満月の夜にベアトリーチェ・ラ・レーテが邂逅したのは実に予想外の人物だった。
 第三幕を目前にした彼女の前に姿を現したのは、先の月光劇場の後に姿を消した『不正義の騎士』。
 余りにもねじくれ曲がった展開にベアトリーチェの口角は思わず持ち上がっていた。
「どうして、こんな場所に到れたのかしら」
 なれば、彼がこの地を踏んだのは幾多の偶然とそれ以上の必然が望んだからに違いない。
 そんな事は分かっている。
「どうして、他ならぬ私を望んだのかしら。天義を守る騎士が、天義に仇為す女を訪ねたりしたのかしら」
 ベアトリーチェ・ラ・レーテ。美しい黒衣の女は、その実、この世界を震撼せしめる最も強力な魔種である。『煉獄篇第五冠強欲』――原種の七の一角を数える彼女にとって、その問いは実に詮無いものだった。
「いけない子ですこと。シリウスの手引きかしら。
 何れにせよ、彼が手を引いた以上は――貴方が望んだからに違いないのでしょうけど」
「隠す事じゃないな。貴女の言う通りだ。
 俺は先の事件の後、天義を出奔し、シリウス――さんを求めた。
 俺の実力じゃ彼を探し当てる事なんて叶うまいが、彼が俺の望みを叶えてくれる公算はあったんでね。
 実際の所、俺が用があったのはシリウスさんや父上にじゃない。貴女の方だ、七罪」
 圧倒的な魔性を目の前にしても騎士――リンツァトルテ・コンフィズリーの口調はしっかりとしていた。
 傍目にすれば武装をした騎士と丸腰の女の組み合わせだが、事実は改めて言うまでも無い。
 ともすれば発狂しそうになるような強いプレッシャーは女から常時放たれている『呼び声ですらない通常営業』に過ぎず、リンツァトルテはと言えば単なる談笑めいた時間にすら魂を削られる心持であった。
「私に用があると――成る程、どんな用件だか伺っても?」
 ベアトリーチェはそんなリンツァトルテに敢えて尋ねる。
 考えて友好的な相手な筈も無いが、それはある種、猫が鼠を甚振るかのような嗜虐性を帯びていた。
 自身が彼如きに害される事等有り得ない――その確信に満ちている。
『兄(ルスト)』ではないが傲慢な結論の上に彼女は言葉を遊ばせているのだ。
「気が向いたら、聞き届けて差し上げなくもなくってよ」
「それは有り難い」

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