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何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

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2019/6/19(1/4)

フルカウンター・ネメシス
「――状況は以上です」
 重苦しい調子で報告を行った兵士に聖騎士団長レオパルは「うむ」と頷き、彼を下がらせる。
 聖都フォン・ルーベルグを分断する騒乱は中央にとっても苦慮の種となっていた。少なくともこのレオパルが騎士として宮廷に出仕して以来、初めてと言ってもいい位の非常事態はこの国が今直面する苦難を如実に物語っている。
 誰が敵で誰が味方か――判別が難しいのはあのイレーヌ・アルエだけでは無い。
 それを確定する事が出来ないのは王宮も同じであり、故にレオパルはフェネスト六世の傍を離れる訳にはいかないのだ。
「状況はそう芳しくは無いようです。
 聖都の中には未だ不正義なる勢力が存在しており、状況はもぐら叩きの様相を呈している」
「――と、言ってもそれはあくまでもぐら叩きに過ぎないのであろう?」
 水を向けたレオパルに玉座の王――フェネスト六世が応じた。
「御慧眼です、陛下」と彼の言を肯定したレオパルは言葉を続ける。
「不逞の勢力が狙ったのは聖都内の分断。しかし、彼奴等めの戦力は目的を前に逆に分断されております。
 この状況では、とても狙い通りの作戦行動は果たせますまい。
 ……ローレットに駆逐依頼を出したのは正解でした。
 睨み合いに動けない正規戦力より、フットワークの軽い彼等ならではです。
 まったく、天義聖銃士隊(セイクリッド・マスケティア)も貧乏くじを引いたものですな」
 元来は彼等がゲリラめいた動きをする予定が、結果として自身が喰らう側になったと言える。
 特に酷いケースでは個による武力で相当痛い目をみたとも聞くからこれは相当のものとなろう。
「アストリアめも、これでは誰に手配を出して良いかも分かるまい。
 ……とは言え、これで終わりであろう筈もあるまいな」
 フェネスト六世の言葉にレオパルは「ええ」と頷いた。
 アストリアにせよ、エルベルトにせよ、魔種の影にせよ、問題は簡単に解ける程優しくは無い。
「結果露呈しつつあるとは言え、これだけならば元より大した騒ぎではない。
 これ程までに周到に根を張った輩が勝算の一つも無く動き出す等有り得ますまい。
 なれば、これは始まりに過ぎないと考えるべきでしょう。そして『これが始まりであるとするならば』」
「敵は不倶戴天の輩――即ち本命の魔種となる。間もなく決戦が訪れるのだ、レオパル」
「はっ」

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