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樹上の村
2019/6/17(2/3)
「いえ、ごめんなさい……こんな事を言っては、いけないのかも知れないけれど――」
そんなアシュレイに寄り添うのは妻であるエイルだ。
尤も彼女は……己が娘をこの世に産み落とした際に亡くなってしまった――筈の存在。
詰まる所、彼女の正体は天義を騒がす『月光人形』。魔種たるアシュレイとて、彼女が仮初である事は理解しているが、『魔種である彼だからこそ、妻に良く似た――妻そのものとも言える存在を否定する理由は一つも無い』。
「すまない。だが煩わしいこの感覚も……もうすぐ終わりだ」
アシュレイはエイルの頬へ手を寄せる。
そう、終わりだ。終わるのだ。
男だろうが女だろうが子供だろうが老人だろうが実は間違っていなかろうが――『そう』だと決めれば断罪の道へと突き進むこの国は。人の血の通う――心を否定し、システムに成り下がった信仰をぶら下げるこんな国は。
否、この手で終わらせねばならない、とアシュレイは強く堅く誓っている。
「変わるのだ。胡坐をかいた正義は」
全てが激変する。後には何も残らない。何も残らなくても――やがて次は生まれるだろう。
間違っていたとしても、今より悪かったとしても、悪かったならばまた『神』が正すだろうから。
「行こう、エイル。私達にはまだ守らなければならないモノがある」
「ええ、あなた。今度はきっと――あの子も分かってくれるから」
真なる神の声を聴けと、聖都では動揺が広がっていると聞いていた。
枢機卿は過ちの神の呪縛を振りほどきたまえと。今こそ声を張り上げろと甘く囁いているのだろう。
(そうだ。そうだ。皆目を覚ますのだ。この国は本当に正しいのか?
振りかざした正義という美酒に酔いしれるは怠惰であると気付けないのか?
今こそ戦え。守るために戦うのだ。
友を守れ。子を守れ。
親を、家族を、恋人を。親しき者を、戻ってきた者を、罪なき者を。そして――)
自らの内に燃え上がりし、真なる正義を。
「いえ、ごめんなさい……こんな事を言っては、いけないのかも知れないけれど――」
そんなアシュレイに寄り添うのは妻であるエイルだ。
尤も彼女は……己が娘をこの世に産み落とした際に亡くなってしまった――筈の存在。
詰まる所、彼女の正体は天義を騒がす『月光人形』。魔種たるアシュレイとて、彼女が仮初である事は理解しているが、『魔種である彼だからこそ、妻に良く似た――妻そのものとも言える存在を否定する理由は一つも無い』。
「すまない。だが煩わしいこの感覚も……もうすぐ終わりだ」
アシュレイはエイルの頬へ手を寄せる。
そう、終わりだ。終わるのだ。
男だろうが女だろうが子供だろうが老人だろうが実は間違っていなかろうが――『そう』だと決めれば断罪の道へと突き進むこの国は。人の血の通う――心を否定し、システムに成り下がった信仰をぶら下げるこんな国は。
否、この手で終わらせねばならない、とアシュレイは強く堅く誓っている。
「変わるのだ。胡坐をかいた正義は」
全てが激変する。後には何も残らない。何も残らなくても――やがて次は生まれるだろう。
間違っていたとしても、今より悪かったとしても、悪かったならばまた『神』が正すだろうから。
「行こう、エイル。私達にはまだ守らなければならないモノがある」
「ええ、あなた。今度はきっと――あの子も分かってくれるから」
真なる神の声を聴けと、聖都では動揺が広がっていると聞いていた。
枢機卿は過ちの神の呪縛を振りほどきたまえと。今こそ声を張り上げろと甘く囁いているのだろう。
(そうだ。そうだ。皆目を覚ますのだ。この国は本当に正しいのか?
振りかざした正義という美酒に酔いしれるは怠惰であると気付けないのか?
今こそ戦え。守るために戦うのだ。
友を守れ。子を守れ。
親を、家族を、恋人を。親しき者を、戻ってきた者を、罪なき者を。そして――)
自らの内に燃え上がりし、真なる正義を。
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何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。