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樹上の村
2019/6/16(2/2)
分かってしまった。違うのだ。祖父と自らとでは、ほんの少し。歩く角度が。
「……む、サクラか。どうかしたのか?」
「……は、はい。お祖父様、騎士団より伝令をお持ちしました」
それは悪戯をした子供が保護者に見咎められた時のようで、至極居心地悪く、罰が悪い。
隠れていた訳ではないが、気付かれ、意識を向けられて――サクラは内心で幾ばくか狼狽せずにはいられなかった。
家名を名乗る事があってからというもの、騎士団はゲツガへの伝令をこの孫娘へと持たす事があった。身内とはいえ何故彼女経由なのか、というのはあえて語らぬこととするが――ローレットが天義で活動する以上、中々無碍には出来なかったのだろう。
気まずそうに視線を逸らした少女が持つは、白に赤の印を飾った一通の封筒。
その蝋印を一目見るにゲツガは静かに息を飲む。差出人の名を、この都で知らぬ者はいない――
天義国王シェアキム・ロッド・フォン・フェネスト六世。
「お祖父様……?」
「……サクラ。よく聞きなさい。この都はもう直ぐ不正義の黒きヴェールに包まれる事になる。
この先何があろうと――決して己の正義を曲げぬよう。不正義にその刃を曇らせぬよう」
『あの』シリウス・アークライトまでもが魔種として現れた報告もある。
コンフィズリーの不正義を継ぐように出現したロストレインの不正義は悪い冗談めいている。
それは『善悪を気にせず、不正義すら容認するローレットに所属していた天義の聖女が、魔種の父と結託しローレットの勇者達を唆した』という罪だ。
言葉にするのも悍ましいという様にその名を最早口にする事すらない彼はサクラへ言った。
「いいかね? サクラ。改めて告げる事も無いとは思うが――
もしもそれと相見える機会を得たならば、その手で速やかに斬りなさい。
ネメシスに不正義は許されない。果断と徹底――神は何時でも『そういう』正義を望まれるのだから」
※『期間限定クエスト』が発生しています。
※アストリア枢機卿の部隊に甚大な被害が発生し続けているようです。
※天義市民からローレットへの評判が、激闘を続けるイレギュラーズを中心として飛躍的に高まっているようです。
※聖都フォン・ルーベルグを中心に、様々な思惑と運命が交差しようとしています……
分かってしまった。違うのだ。祖父と自らとでは、ほんの少し。歩く角度が。
「……む、サクラか。どうかしたのか?」
「……は、はい。お祖父様、騎士団より伝令をお持ちしました」
それは悪戯をした子供が保護者に見咎められた時のようで、至極居心地悪く、罰が悪い。
隠れていた訳ではないが、気付かれ、意識を向けられて――サクラは内心で幾ばくか狼狽せずにはいられなかった。
家名を名乗る事があってからというもの、騎士団はゲツガへの伝令をこの孫娘へと持たす事があった。身内とはいえ何故彼女経由なのか、というのはあえて語らぬこととするが――ローレットが天義で活動する以上、中々無碍には出来なかったのだろう。
気まずそうに視線を逸らした少女が持つは、白に赤の印を飾った一通の封筒。
その蝋印を一目見るにゲツガは静かに息を飲む。差出人の名を、この都で知らぬ者はいない――
天義国王シェアキム・ロッド・フォン・フェネスト六世。
「お祖父様……?」
「……サクラ。よく聞きなさい。この都はもう直ぐ不正義の黒きヴェールに包まれる事になる。
この先何があろうと――決して己の正義を曲げぬよう。不正義にその刃を曇らせぬよう」
『あの』シリウス・アークライトまでもが魔種として現れた報告もある。
コンフィズリーの不正義を継ぐように出現したロストレインの不正義は悪い冗談めいている。
それは『善悪を気にせず、不正義すら容認するローレットに所属していた天義の聖女が、魔種の父と結託しローレットの勇者達を唆した』という罪だ。
言葉にするのも悍ましいという様にその名を最早口にする事すらない彼はサクラへ言った。
「いいかね? サクラ。改めて告げる事も無いとは思うが――
もしもそれと相見える機会を得たならば、その手で速やかに斬りなさい。
ネメシスに不正義は許されない。果断と徹底――神は何時でも『そういう』正義を望まれるのだから」
※『期間限定クエスト』が発生しています。
※アストリア枢機卿の部隊に甚大な被害が発生し続けているようです。
※天義市民からローレットへの評判が、激闘を続けるイレギュラーズを中心として飛躍的に高まっているようです。
※聖都フォン・ルーベルグを中心に、様々な思惑と運命が交差しようとしています……
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何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。