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樹上の村
2019/6/15(1/2)
<蝶の羽搏きに騙屋は滅びの羽音を聞くか>
キチキチキチ――――
どこからか何かの音がした。イレギュラーズ。イレギュラーズ。自身が強くなるためには『駒』が必要である事をギーグルは気付いていた。
だからこそ、イレギュラーズを仲間にせんと画策したが明けなくフラれて仕舞ったという訳だ。
「モット、モット、力ガ、ホシイ……!」
キチキチキチ。
その音を耳にして、つい、と顔を上げたのは清廉潔白なる聖職者。ディスコー神父の息子たるディスコーJr.だ。
秩序正しき清廉なる市民たちはディスコーJr.はタピオカを喉に詰まらせ死んだと聞いていたが、こうして顔を見せてくれるのはその噂は嘘だったと口々に繰り返す。
彼の傍にふわりと舞った蝶々を視線で追いかけたギーグルはこの都には魔種も死者も盛り沢山なのだと口元にゆったりとした笑みを浮かべる。
キチキチキチ。
「神父様、何か……音が」
「虫か何かでしょう。先程は美しい蝶々が舞っていましたし……不安がる事はありません」
その口調は『とってつけたかのような聖職者』であった。表向きには穏やかに話しているが教会の地下では『楽し気な騒ぎ』を催しているのだから人は見かけによらない。
騎士団として周囲の警戒に当たっていた騎士の様に『見える』存在は白い耳をぱふぱふと揺らしながらディスコーJr.を見なかった振りをし見回りに戻る。
舞う蝶々も、聞こえる歯ぎしりの様な音も彼からすると『お仲間』の音に過ぎなかった。
「聖職者ハル・テル・メルルへの嫌疑ですが、全くのデマでしたね」
「ああ、×××さんが仰るのだから」
聖職者たるクロス・アイ・ギア殿の事も全くの嘘だろう、と騎士たちは口々に言った。
それこそ、魔種ロストレインが勇者ローレットを誑かすかのように騎士団を混乱に陥れようとした何者かが撒いたデマであろうとでもいうように。
祈り、捧げ、『癒しの奇跡』と呼ばれる聖女が悪であるなどと口にした不正義の輩を捕まえねばならぬと騎士たちは繰り返す。
ひらりと妖蝶が舞っている。その鱗粉から僅かに広がる狂気の気配に気づきながらも『騎士』はふんと鼻を鳴らし気付かぬふりをした。
<蝶の羽搏きに騙屋は滅びの羽音を聞くか>
キチキチキチ――――
どこからか何かの音がした。イレギュラーズ。イレギュラーズ。自身が強くなるためには『駒』が必要である事をギーグルは気付いていた。
だからこそ、イレギュラーズを仲間にせんと画策したが明けなくフラれて仕舞ったという訳だ。
「モット、モット、力ガ、ホシイ……!」
キチキチキチ。
その音を耳にして、つい、と顔を上げたのは清廉潔白なる聖職者。ディスコー神父の息子たるディスコーJr.だ。
秩序正しき清廉なる市民たちはディスコーJr.はタピオカを喉に詰まらせ死んだと聞いていたが、こうして顔を見せてくれるのはその噂は嘘だったと口々に繰り返す。
彼の傍にふわりと舞った蝶々を視線で追いかけたギーグルはこの都には魔種も死者も盛り沢山なのだと口元にゆったりとした笑みを浮かべる。
キチキチキチ。
「神父様、何か……音が」
「虫か何かでしょう。先程は美しい蝶々が舞っていましたし……不安がる事はありません」
その口調は『とってつけたかのような聖職者』であった。表向きには穏やかに話しているが教会の地下では『楽し気な騒ぎ』を催しているのだから人は見かけによらない。
騎士団として周囲の警戒に当たっていた騎士の様に『見える』存在は白い耳をぱふぱふと揺らしながらディスコーJr.を見なかった振りをし見回りに戻る。
舞う蝶々も、聞こえる歯ぎしりの様な音も彼からすると『お仲間』の音に過ぎなかった。
「聖職者ハル・テル・メルルへの嫌疑ですが、全くのデマでしたね」
「ああ、×××さんが仰るのだから」
聖職者たるクロス・アイ・ギア殿の事も全くの嘘だろう、と騎士たちは口々に言った。
それこそ、魔種ロストレインが勇者ローレットを誑かすかのように騎士団を混乱に陥れようとした何者かが撒いたデマであろうとでもいうように。
祈り、捧げ、『癒しの奇跡』と呼ばれる聖女が悪であるなどと口にした不正義の輩を捕まえねばならぬと騎士たちは繰り返す。
ひらりと妖蝶が舞っている。その鱗粉から僅かに広がる狂気の気配に気づきながらも『騎士』はふんと鼻を鳴らし気付かぬふりをした。
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何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。