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樹上の村

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街角の更新ログ

何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

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2019/6/14(1/2)

<八ツ内・弐津星>
 この世界はゲームだ。ああ、全くその通りだともさ。
 誰も彼もあれもこれもそれも全てが駒・駒・駒。指で摘まんで動かして。弾いて取って弄ぶ。
「――チェック・メイト」
「ちょっと待ってよ、少しは手加減ってものをさァ」
「ハハハ! 挑んで来た側が手加減を所望とは、遠回しに申し上げますが――お恥ずかしくない?」
 顎に手を。なんともはや難しい、とばかりに肩をすくめるのは『アンラックセブン』という指名手配犯共が一人――ロストレイ・クルードルだ。対面には彼の『仲間』というべきか『同志』という言うべきか足る男がもう一人いて。
「で、ご用件は?」
「あぁ――うん、まぁ大した事じゃないんだけどね。『遊ばないか』と思ってさ」
「ほぉう遊ぶ? この国で?」
 男が興味深そうに眉を動かす、が。同時に大いなる疑問を抱いたのも確かだ。
 この国の現状に関してはそれなりに聞き及んでいる。中々に混沌としており、とても平穏などと呼べる状況ではない事を。死者の蘇生、魔種の存在、伴う混乱と嘆きの声。この隙を突けば幾らでも介入の余地などあろう、が。
「この盤面のプレイヤーは『魔種』と『天義』……ああいや、後者の味方として『ローレット』もいますか。ともあれ席は既に埋まっていましょう。今更なんぞやの思考によって介入するのか」
 彼らはとても『マトモ』な人物達ではない。
 それぞれ己が価値観を抱き、それが平和を甘受する一般的な人々のマトモな観点からすると――『悪』と呼ばれる行為を是とするロクデナシである。が、考え無しの愚か者ではない。
 何の楽しみがあるのか。月光人形などという死者が蔓延しつつある、この国に――
「『ソレ』だよ」
 瞬間、ロストレイは眼を細めた。
「俺はね、不思議だったんだ。月光人形なんて言う連中がさ」
「ほう?」
「あれは呼び声の媒介品だ――この世の人々を狂気に落とすらしいね。愛しのジャンヌも……あぁまぁ彼女は月光人形とは違う存在に呼ばれたようだけど。ともかくそういう風に狂わせる罠だ」
 本来清く、正義に沿って生きている人々を惑わせる存在。
 天義における一連の騒動において中核を成した一要素と言えるだろう。

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