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樹上の村

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街角の更新ログ

何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

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2019/6/8(1/2)

枢機卿の激昂

「猊下、ご報告が」
 部下を部屋の入り口に立たせたまま、アストリア枢機卿はワインボトルを眺めていた。
「猊下、何卒」
「忙しい、後にせよ」
 返答は間髪入れず。
「それが……火急の」
「なんじゃその束は、申してみ」
 声のトーンを一段下げ、アストリアは椅子へと腰掛ける。
 ワゴンに載せられた羊皮紙は、正に山のようであった。
「聖獣様と銃士がイレギュラーズに襲撃を受けている模様」
 返答はない。続きを促しているのであろう。

 ――アストリアは押し黙り、視線だけを突き刺す。
 銃士は咳払いすると、報告書を読み上げた。

「……脚部の特徴からデイジー・リトルリトル・クラークと思われます。
 また舞音・どらなる聖人様が……」
「聖人……じゃと!?」
 アストリアの声が怒気を孕む。
「い、いえ。おそらくは何か報告の間違いであるかと。またこちらの報告書ではその戦いぶりからシルヴィア・テスタメントであると予測されており」
「なにがテスタメントじゃ! 罰当たりな! まだ有るのか!」
 銃士が額に汗をにじませる。
「調査に手間取った数名。こちらはおそらく君影・姫百合、白 薔薇、天狼 カナタの三名であると思われ……」
 銃士が顔をあげると、アストリアが立ち上がる。
「時に汝、その足はどうした」
「何でも御座いません!」
「遠慮をするでない、近う寄れ。
 正義に邁進した故のことであろう。妾とて聖職の端くれ。癒やしの奇跡程度は施せよう」
「勿体なきお言葉」
「ここには汝と妾以外におらん……妾の特別な時間を進ぜるのもやぶさかではないが」
 アストリアは触れるほどの距離に近づき、銃士を下から見上げた。
「げ、猊下!?」
「だめかの?」
 小首を傾げる。
「さ、足を見せ」
 観念した銃士は天井を仰ぎ、生唾を飲み込んだ。

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