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樹上の村

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街角の更新ログ

何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

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2019/5/18(1/2)

<月影の女>
 思い出したくない事程、強く印象に残っているものだ。
 幸福な記憶は掌からすぐに零れ落ちていく割に、忌避すべきワンシーンは頭の中にこびり付いて離れない。
 聖都の端で人知れず起きていた異変の件が知らしめたように、『黄泉還り』による狂気の伝播が『サーカス』の一件と同様の規模となって居ることに特異運命座標は気付いていた。
「……それで、『先生』?」
 助手役を気取る『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)が件の探偵に冗談めかして問い掛けた。今回の事件も状況への対症療法に過ぎなかったが、これまでと違う話があったのも確かだった。
「黄泉還りの足取りに『黒衣の占い師』の影があり、か。
 それが真実か、証拠も確証もどこにも存在してないけど……」
「そうね。もしもお兄ちゃんだったなら『確かめるべき』というと思うわ。
 憶測だけれど――きっと、この事件にその『黒衣の占い師』が関わっているのは確かだもの」
 『青の十六夜』メルナ(p3p002292)は、兄の代わりを務めるように、あくまで兄の思考を選択する。焔と続いたメルナの言葉に肩を竦めたコートの男――『先生』こと探偵のサントノーレは「お兄ちゃんが言うなら確かだ」と笑っていた。
「『先生』? 笑う所なの?」
「笑えない冗談を言うのが大人の男の余裕ってモンだぜ。
 焦ったって仕方ない。こんな時には無理矢理にでも――やせ我慢でも『余裕』を取るのさ。
 それで頭もハッキリする――それはそうと、助手役も板についたね、焔ちゃん」
「むう」と難しい顔をした焔にサントノーレは「オーケー、マジで行こう」と頷いた。
「確かに例の話は――俺も気にはかかってる。
 聖都への帰り道で寄り道をしたけど、占い師の女の話を何度か聞いた。
 全く関わりの無い複数の人間が似たような証言をするって事は――『何かある可能性』は十分だ。
 問題は俺にもその女の足取りは掴めてないって所なんだが」
「それは……彼女の足取りを掴もうとも……
『黄泉返り』が終わった後では私たちにはそうするすべがないからでしょう」
 踊り子として村人の注目を集め続け、広場での情報を耳にしていた『銀月の舞姫』津久見・弥恵(p3p005208)は苦々しくそう言った。

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