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樹上の村

街角保管室

街角の更新ログ

何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

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2019/3/16(2/2)

「……まぁ、良いです。それより本題。
『常夜』が好きにするのはそれはそれで良いでしょう。
 貴方は先を越されたと憤るのでしょうが、私は私で仕掛けを進めてまいります。
 第一、『勤勉なる正義』ばかりを旨とするこの国に『怠惰』は棲みかねていた。
 ならば、それも人の『強欲』で良いというものではありませんか」
「……」
「第一、『他ならぬ貴方が先鋒で動き始める筈が無い』でしょう?
 常夜にせよ、私にせよ同じ事。尤も、勿体をつける名優は出番すら無いかも知れませんけれどもね」
 言葉にルストはもう一度「フン」と鼻を鳴らした。
 己が以外の全てを軽侮し、見下すその姿はまさに『煉獄編第一位』の姿に相応しい。
 己が力と階位を心から信じ切っている彼は、成る程――自称ならずとも『他とは完全に異質』になろう。
「直に舞台の幕は上がるでしょう。ネメシスの全てを巻き込む、大きな、大きな舞台の幕は。
 悲喜が入り混じり、忘れられた人間性は目を覚ます。
 人形達は踊り出し、整然を嫌う狂騒曲は大きな熱を帯びるでしょう。
 ……この国は、あの街は私にとってはこの混沌で一番許し難い。理由は、言わなくても分かるでしょうが」
 ベアトリーチェは「貴方はむしろ相性が良いのでしょうけど」と言葉を結んだ。
 話は概ね纏まっている。ルスト・シファーは『傲慢』の名にかけて先鋒を嫌い、ベアトリーチェ・ラ・レーテは動かなければならない理由と、動きたい理由の双方を持ち合わせている。常夜とは特に協調関係はないが、統制の綻び、国の乱れ、かの常夜はその先駆けとして丁度良い塩梅といった所なのだ。
「ああ、只一つだけ」
 ベアトリーチェは赤い唇、口角を皮肉に持ち上げてルストに言う。
「貴方も余り滅多な事を言わないで。次、イノリ様に弓を引くなんて言ったら、私」
 葬送の歌は欲深く、仄暗い。例えそれが同胞以上の『兄弟』だとて、女の情は止められない。

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