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樹上の村
2019/2/25
<三千世界は鴉を殺した?>
夢を見ていた。少女が夜を呼ぶ夢だ。
昼間の賑やかな大通りを、馬車と教会の鐘と焼いた小麦の香りを、その中を、黒衣の少女がまどろむように立ち止まる。
少女がなにごとか呟いたその時に、空は眠るように夜色へ塗り変わり、風は夢見るように静まり、人々はとっくりとしかし整然に眠りへとついていく。
町はまるで夢を見るように塗り変わっていった。
お菓子の家に、遠い銀河に、虹かかる空の庭に、海底のダンスホールに、虚無の白に、スクランブル交差点の雑踏に、羊の大移動に、あがるキノコ雲に、春風歌う大草原に、次々と、まるで元の姿を忘れるように変わっていく。
人々の姿は夢の中に塗りつぶされるように消え、空も家々も、なにもかもが消えていく。
少女はその光景の中で唯一変わらず、ただ虚空の一点だけを見つめていた。
いや。
少女だけじゃない。
少女は、『わたし』へ振り返った。
少女は、眠そうに笑い。
少女は、優しそうにまどろみ。
知らぬ間に後ろに立っていた少女が、『わたし』の両目を手で塞いだ。
「誰でも知っていて、誰も気づいていないもの、なあんだ」
『わたし』は気づいてしまった。
これは現実だ。夢なんかじゃない。
そしてもう一つ、気づいてしまった。
――現実なんて、もういらない。
――夢のような、夢のような、夢のような世界の中で遊べばいい。
――現実の肉体など、朽ち果ててしまえばいい。
※天義西部の町ムーンボギーが明けぬ夜の呪いに閉ざされました!
この不吉に現場は混乱。イレギュラーズには事態の調査と解呪が求められています!
<三千世界は鴉を殺した?>
夢を見ていた。少女が夜を呼ぶ夢だ。
昼間の賑やかな大通りを、馬車と教会の鐘と焼いた小麦の香りを、その中を、黒衣の少女がまどろむように立ち止まる。
少女がなにごとか呟いたその時に、空は眠るように夜色へ塗り変わり、風は夢見るように静まり、人々はとっくりとしかし整然に眠りへとついていく。
町はまるで夢を見るように塗り変わっていった。
お菓子の家に、遠い銀河に、虹かかる空の庭に、海底のダンスホールに、虚無の白に、スクランブル交差点の雑踏に、羊の大移動に、あがるキノコ雲に、春風歌う大草原に、次々と、まるで元の姿を忘れるように変わっていく。
人々の姿は夢の中に塗りつぶされるように消え、空も家々も、なにもかもが消えていく。
少女はその光景の中で唯一変わらず、ただ虚空の一点だけを見つめていた。
いや。
少女だけじゃない。
少女は、『わたし』へ振り返った。
少女は、眠そうに笑い。
少女は、優しそうにまどろみ。
知らぬ間に後ろに立っていた少女が、『わたし』の両目を手で塞いだ。
「誰でも知っていて、誰も気づいていないもの、なあんだ」
『わたし』は気づいてしまった。
これは現実だ。夢なんかじゃない。
そしてもう一つ、気づいてしまった。
――現実なんて、もういらない。
――夢のような、夢のような、夢のような世界の中で遊べばいい。
――現実の肉体など、朽ち果ててしまえばいい。
※天義西部の町ムーンボギーが明けぬ夜の呪いに閉ざされました!
この不吉に現場は混乱。イレギュラーズには事態の調査と解呪が求められています!
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何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。