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樹上の村
2018/11/24(1/3)
<北部戦線・動>
幻想鉄帝睨み合う北部戦線。
鉄帝側主将――ザーバ・ザンザの下にその報告が届けられたのは寝耳に水の出来事だった。
帝都の宰相バイルから送られた使者と手紙は彼の強面を一層厳しいものにする情報が詰め込まれていた。
「……スチールグラード近郊の穀物庫が焼けた、ですって?」
副官の確認に使者は頷く。
強張った彼の表情がこの事実が鉄帝国にとって非常に重大な事件である事を示している。
一年と国土の大半を寒冷な気候に支配されている鉄帝国は経済的な逼迫の上で成り立っている。強靭にして生命力に溢れた鉄帝国の民――多くは過酷に耐性を持つ鉄騎種である――はそれでも力強く精強な帝国を保持してきたが、その気候風土の影響から帝国は冬への備えを他所の国以上に厳重に行ってきた。越冬への準備を邪魔する事、これの盗み等を行う事は帝国では最大の禁忌と見做されている。余程の悪人でも流石に躊躇するような大罪である。
「犯人は挙がっていない、と」
「は。皇帝もこれにはお怒りで……
宰相の指揮の下、下手人を探しておりますが――発見には到っておりません。
勿論、帝都も相応の警戒はしていたのですが……
正直、盗み出す、ではなく焼き捨てる、という発想が余り無かったのは否めません。
準備は周到だったようで、鎮火も間に合いませんでした。幸いに被害に遭ったのは一棟だけでしたが――」
「ふぅむ」とザーバは思案顔をした。
ザーバの中に余り考えたくない結論がパズルのピースのように組み上がっていく。
何とも難しい顔をしたまま、彼は問う。
「報告を待たずしてすまんな。こちらから聞くが、現場に痕跡らしきものは残っておらんかったか?
例えばそう――レガド・イルシオンが関与しているかのような」
「……将軍、何故それを?」
「まさか本当にあの幻想が……?」
使者の反応に副官は目を丸くした。
ザーバはまるで答えを知っていたかのように言った。
<北部戦線・動>
幻想鉄帝睨み合う北部戦線。
鉄帝側主将――ザーバ・ザンザの下にその報告が届けられたのは寝耳に水の出来事だった。
帝都の宰相バイルから送られた使者と手紙は彼の強面を一層厳しいものにする情報が詰め込まれていた。
「……スチールグラード近郊の穀物庫が焼けた、ですって?」
副官の確認に使者は頷く。
強張った彼の表情がこの事実が鉄帝国にとって非常に重大な事件である事を示している。
一年と国土の大半を寒冷な気候に支配されている鉄帝国は経済的な逼迫の上で成り立っている。強靭にして生命力に溢れた鉄帝国の民――多くは過酷に耐性を持つ鉄騎種である――はそれでも力強く精強な帝国を保持してきたが、その気候風土の影響から帝国は冬への備えを他所の国以上に厳重に行ってきた。越冬への準備を邪魔する事、これの盗み等を行う事は帝国では最大の禁忌と見做されている。余程の悪人でも流石に躊躇するような大罪である。
「犯人は挙がっていない、と」
「は。皇帝もこれにはお怒りで……
宰相の指揮の下、下手人を探しておりますが――発見には到っておりません。
勿論、帝都も相応の警戒はしていたのですが……
正直、盗み出す、ではなく焼き捨てる、という発想が余り無かったのは否めません。
準備は周到だったようで、鎮火も間に合いませんでした。幸いに被害に遭ったのは一棟だけでしたが――」
「ふぅむ」とザーバは思案顔をした。
ザーバの中に余り考えたくない結論がパズルのピースのように組み上がっていく。
何とも難しい顔をしたまま、彼は問う。
「報告を待たずしてすまんな。こちらから聞くが、現場に痕跡らしきものは残っておらんかったか?
例えばそう――レガド・イルシオンが関与しているかのような」
「……将軍、何故それを?」
「まさか本当にあの幻想が……?」
使者の反応に副官は目を丸くした。
ザーバはまるで答えを知っていたかのように言った。
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何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。