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樹上の村

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街角の更新ログ

何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

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2018/11/22(1/3)

<ジーニアス・ゲイム>

 蠍の動乱、鉄帝国(ゼシュテル)の不穏な動き――
 蜂の巣を突いたような大騒ぎはこの所の幻想の日常である。
 しかし物事には何事も例外というものがあるらしい。
 幻想北部、荒れた世情とは裏腹にあくまで凪を気取る商都サリュー。その中心に存在する邸宅は今夜も一分の乱れもない完璧な瀟洒さを保ったままだった。人々は口々に館の主を讃えたものだ。「流石、クリスチアン・バダンデールだ。蠍の被害も未然に食い止めたらしいし、その采配に任せておけば安心だ」と。
 そんな穏やかな屋敷の一室で穏やかならぬやり取りをする人物が二人。
 片方は噂の屋敷の主であり、もう片方は彼が特別に雇い入れた客将である。
「さて、蠍は南部を幾らか抑えたようじゃが――これは主の予定通りか?」
「思った程じゃないな。それは例の盗賊王も同じ感想かも知れないが」
 死牡丹梅泉の言葉に肩を竦めたクリスチアン・バダンデールは然程面白くもなさそうな顔をしていた。
 シャウラ事件で一斉に幻想南部を攻撃した新生砂蠍は、幻想貴族が北部戦線――即ちゼシュテルとの国境防衛ラインである――に釘付けになっているという『偶然』の利もあり、有利に事を進めると見られていたが、蓋を開けてみれば幻想側の被害は小さくないにせよ限定的に留まったという。かのローレットの活躍を以て。
「冴えぬ顔をする。自信家の主には珍しいな?」
「冗句の心算か、バイセン。しかし君は下手くそだな」
 口元を歪める梅泉にクリスチアンは続けた。
「まぁ、予想より勝たなかったのは事実だが――想定内なのも確かだ。
 こちらとしても彼等の実力は測っていた心算だし――結果は称賛こそすれ、大きく驚いて見せる程の事も無い。彼等が優秀なのはとっくに分かっている事だから」
「と、なれば?」
「まぁ、盤面はあくまで私のコントロール下にあると言えるだろうね。
 冴えない顔、とはご挨拶だが――私の顔の作りは元々こんな風でね。
 だから、そうだね。例えばアンニュイな顔をする時には演技の必要がなくて、気楽だ」

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