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何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

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2018/11/9(1/3)

<三貴族会議>
 幻想北部、アーベントロート別邸。
 平素、他派の貴族がこの場所に集まる事は無いが、この日ばかりは別だった。
 不倶戴天――とまでは言わないが犬猿の仲で知られるフィッツバルディ家、やり方が大いに違う為、滅多に連携を取る事は無いバルツァーレク家、そして当然ながら家主であるアーベントロート家に連なる貴族達がかの屋敷に一堂に会している。
『新生・砂蠍』を名乗る大盗賊勢力が幻想を荒らし回って暫くが経つが――今回の動きは出色のものだった。
 様々な問題を抱えた幻想貴族ではあるが、『自身の寄る辺を守る事』にだけは大変熱心である。今この瞬間の会合が示す通り、いざ自身の権益が侵され得る状況ともなれば、その時ばかりは一致団結を見せる連中なのである。盗賊王の軍勢が単なる収奪に留まらない国盗りの動きを見せている以上、貴族同士の対決が一旦休戦となるのは当然の事だった。
「北部戦線は予断を許さない状況のようですね。
 一方で幻想南部に侵攻を開始した盗賊王の手勢はかなり大規模な攻勢を強めている模様です」
「ふむ」
「地政学的に南北に分かたれた『敵』の配置は或る種の挟撃を達成しています。
 盗賊と鉄帝国の連携は不明ですが、敵の敵は味方という言葉もありますからね。
 少なからず彼等はこの好機をお互いに利用し合う関係には成り得るでしょう」
「下賤の輩めに、何ぞ知恵をつけたものがおるようだな。
 痴れ者の目的は知れぬが、余りにも不自然な動きではある。
 鉄帝国の将帥がザーバ・ザンザである以上――かような動きは無いものと思っておったが」
『遊楽伯』ガブリエルの言葉に苦虫を噛み潰したように呟いたのは『黄金双竜』レイガルテである。
 高齢のレイガルテは他の貴族よりも長らく鉄帝国の脅威と相対している。その彼をして余り前例に覚えがない今回の状況は、存在するかも知れぬ『何者か』を疑わせるには十分だったという事か。
「……」
 専ら貴族同士の軍議はこの二人を中心に行われていた。
 それは当然ながら立場、権威の問題であり、他にも理由があった。
 周囲の貴族が派閥の領袖たる大貴族のやり取りに、口を挟めない最大の理由は最後の一人である。

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