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樹上の村

街角保管室

街角の更新ログ

何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

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2018/10/5(2/2)

「……まぁ、いいけど。一応、海洋(ここ)はアタシの縄張りだってお忘れなく。
 あの子――ええと、チェネレントラだっけ。あの子は随分お気に入りなのね」
「乙女のリベンジは当然の権利でしてよ。私も、あの子も同じ事でしょう?」
 ルクレツィア独自の理屈にアルバニアは「まぁ、いいけど」をもう一度繰り返した。
 イノリは「それぞれ自由にやれ」と言っていた。まだ本格的に動き出した七罪は居ないが、活動場所が被っていけない法も無い。
 自分達は基本的には自由気ままに独立した存在――大罪とは独立しているべきもので、混じり気の無いものなのだが――どうしても噛ませろと言われれば。自覚して自分は甘い。恐らくはルクレツィアはそれも計算の上で、自分が根を張る海洋を選んだのだろうと、アルバニアは苦笑した。
「でも、あんまり調子に乗ったら駄目よ。物事には順番があるし――イノリも言ってたでしょ?」
「分かっておりますとも。そこは、アルバニアもオニーサマと同じように仰るのね」
「……ホント、いい加減『淑女(レディ)』になってよね」
 ご機嫌のルクレツィアを半眼で眺め、アルバニアは溜息を吐いた。
 どれ程の永きが過ぎようと変わらない『妹』は言われて聞くような相手ではないけれど、『天真爛漫にとびきりの無邪気を載せた邪悪の塊』はそれを周りに認めさせる不思議な力を持っている。
「ああ――」
 笑うルクレツィアは美しい。まるで理想的な少女のようだ。

 ――まるで、全く夢見がち。この世に思う侭にならない事が無いと疑っていないかのような。
   我儘と乙女心でデコレートされたお姫様、なんて。
   ああ、羨ましい。ああ、妬ましい。この手でバラバラに――してやりたい位に!

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