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樹上の村
2018/6/4(2/2)
「何とか、あのお方にご協力を……ここを脱出しなければ」
呻くジャコビニの言葉をピエロは鼻で笑い飛ばした。
「やめてよ、つまんない冗談。
笑えねーし、そんなお願いしたら、首が三十回はすっ飛ぶぜ。
……第一、僕達って『滅びを望んでいる』訳でしょ? それなのに困ってるっておかしいよねえ!
座して死ぬなよ。我等幻想楽団シルク・ド・マントゥール!
地獄の沙汰は金次第、御代はどうぞ惜しみなく。拍手快哉、驚天動地!
さあさ、何方も御覧じろ、正真正銘種は無く、何せ僕等の首が飛ぶ!」
「……貴様……!」
「面白おかしく、どうぞ笑顔で最期まで! お帰りはあちら、再演は未定!
あー、楽し。まさに幻想大公演じゃん?」
「――ピエロ風情が!」
杖を振り上げたジャコビニからクラリーチェはひらりを身を翻した。
「構っている場合ですか!」
「とにかく、この後を決めないと……」
ジャコビニを制し、相談を始めたサーカスに肩を竦めたクラリーチェは醒めた視線を彼等に送る。
「いい加減、覚悟決めたら?」
伝えるでもなく、酷薄に言ったクラリーチェは指先で刃の糸を遊ばせた。
……森の入口付近に近付いた兵の一人をその痕跡ごと、彼の指先が刈り取ったのだ。
「やれやれ、だ」
決着の時は近いだろう。
覚悟の決まらないサーカスの喧々囂々に口笛を吹いたピエロは端正な顔できっと今夜も笑っていた。
「何とか、あのお方にご協力を……ここを脱出しなければ」
呻くジャコビニの言葉をピエロは鼻で笑い飛ばした。
「やめてよ、つまんない冗談。
笑えねーし、そんなお願いしたら、首が三十回はすっ飛ぶぜ。
……第一、僕達って『滅びを望んでいる』訳でしょ? それなのに困ってるっておかしいよねえ!
座して死ぬなよ。我等幻想楽団シルク・ド・マントゥール!
地獄の沙汰は金次第、御代はどうぞ惜しみなく。拍手快哉、驚天動地!
さあさ、何方も御覧じろ、正真正銘種は無く、何せ僕等の首が飛ぶ!」
「……貴様……!」
「面白おかしく、どうぞ笑顔で最期まで! お帰りはあちら、再演は未定!
あー、楽し。まさに幻想大公演じゃん?」
「――ピエロ風情が!」
杖を振り上げたジャコビニからクラリーチェはひらりを身を翻した。
「構っている場合ですか!」
「とにかく、この後を決めないと……」
ジャコビニを制し、相談を始めたサーカスに肩を竦めたクラリーチェは醒めた視線を彼等に送る。
「いい加減、覚悟決めたら?」
伝えるでもなく、酷薄に言ったクラリーチェは指先で刃の糸を遊ばせた。
……森の入口付近に近付いた兵の一人をその痕跡ごと、彼の指先が刈り取ったのだ。
「やれやれ、だ」
決着の時は近いだろう。
覚悟の決まらないサーカスの喧々囂々に口笛を吹いたピエロは端正な顔できっと今夜も笑っていた。
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何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。