PandoraPartyProject

ギルドスレッド

スレッドの一部のみを抽出して表示しています。

樹上の村

街角保管室

街角の更新ログ

何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

→詳細検索
キーワード
キャラクターID
2019/10/6(1/4)

境界図書館
 ずっと。
 ずっと。ずっと。ずっと。
 途方も無い時間を、彼女はただ揺蕩っていた。
 あの頃から。遠い遠い、あの日から。気も遠く、擦り切れてしまいそうなあの時から――

 彼女――厳密な意味でそう呼ぶのは適切ではないが――はクレカと言う。
 彼女は『人形師』なる存在によって生み出された被造物である。
 彼女の世界は信じ難い程、異質な――混沌では体系さえ類似出来ないオーバー・テクノロジーを多く有する世界だ。
 たとえばクレカのように、宝玉をコアとして生み出された命ある人形もその一つである。
 それ自体がかの世界が『生命』さえ生み出す――禁忌の領域に踏み込まんとした場所である証左となろう。

 その世界は大いなる厄災『世界分断』に苛まれていた。
 それは、太古の昔から途方も無い年月をかけて、世界を構成する土地が、大気が、文明が、文化が、生命が、つまり世界そのものが――徐々に徐々に『接続してしまった』異世界へと漏れ出し、滲み出し、流失し続けるという現象であった。
 異能と異才を誇るその世界でも本質的に『世界分断』を食い止める事は出来なかったという。
 絶望に絶望を重ねた人形師の一人は或る時、最後に残った一縷の望みを賭け、一体の人形――クレカを生み出した。
 人形師の望みとは自身の世界を元の姿へ戻すこと。流失した領域を取り戻し、世界を復元すること。
 クレカの姿は世界の最果て――接続してしまった境界にほど近い、境界そのものといっても過言では無いポイントXX389で最も長く観測された知的生命体をモデルとする事にした。あちら側での交流がスムーズになるよう願ったのである。
 だが、人形師の望みは彼の思う通りには叶わなかった。
 多大なる期待を背負い、境界に送り出されたクレカは世界と世界の狭間。
 最果てのあわいが歪んだ時、敢え無く閉じ込められてしまったのである。

 そんな昔話の後、本当に気が狂う位の長きが――幾星霜が過ぎ去った。

 ――

 ――――

 十層を攻略したイレギュラーズは、次の層に続く道の他に『枝葉』を発見するに至っていた。
 闇の回廊の先、一行が立っているのは混沌世界の内と外との境界にある、文字通りの異界であると言えた。
「あなたは……誰……?」
 足下すらおぼつかない極彩色の中で、視界に飛び込んできたのは一人の少女だった。
「誰って……」
「ペリカさんと――」

キャラクターを選択してください。


PAGETOPPAGEBOTTOM