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樹上の村

街角保管室

街角の更新ログ

何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

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2019/9/20(1/2)

玉座の間にて
 イオニアス・フォン・オランジュベネが北伐を開始した――

 魔種たるかの人物の動きがあって幻想は再び戦火に塗れそうである。尤も、彼の動きは一度制されている。ここで再びローレットの助力も借りて撃退する事が出来れば、イオニアスに三度目はあるまい……だがもし仮にそうならなかったとすれば、この国に更なる災厄が降りかかることも想像に難くない所であるが。
「……正念場、と言った所ですか」
 部下より齎されたイオニアス一派の情報を『花の騎士』シャルロッテ・ド・レーヌは眺め、さて陛下へどう報告したものかと思案していた。多少善くなってきているとは言え王は王であり、報告した所で大概は『そっかぁ、大変な事が起こってるんだなぁ!』という感じの返答で終わってしまうのだが……
 まぁだからと言って報告に手を抜くのは性にも礼にも非ず。
 それに依然として自覚があるかはともあれ彼はこの国の頂点だ。ならばこの国で起こっている全てを知る権利があり、知るべきである。故に王の間の扉を開いた――その時。

「シャルロッテ、どういう事だ!」

 一喝する声が鳴り響いた。
 声は王――フォルデルマン三世に間違いない。が、
「なぜこんな事になるまで余に一切の話を伝えなかったのだ! 余は全く知らなかったぞ!」
「へ、陛下……!?」
「まさかこんな、こんな事態になっているとは……!」
 目を伏せ、眉間に皺を寄せて。嘆く様に感情を露わにしているフォルデルマン三世がそこにいた。
 その在り方に『放蕩王』などと称される姿は見受けられない。ああついに。ついにイオニアスの暴挙で国を想う君主の気質が露わとなったのか! 一刻も早く王の下に仔細を届けるという気概が湧かなかった、己の心情を恥じた花の騎士――であったが。

「――余の好物たるピーナッツバターが深緑から届かないとはどういう事だ! 深緑ミルク工房からのいつもの供給は!? あのまろやかな味わいがないと余は、余は――夜しか安眠できないんだぞ!? まぁ別に毎日食べている訳でもないが!」

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