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樹上の村

街角保管室

街角の更新ログ

何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

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2019/9/14(1/3)

暁と黄昏の境界線
『北辰の道標』伏見 行人(p3p000858)が敵兵を斬り伏せ、縛り上げた時だった。
「イレギュラーズか……いい気になるなよ!? 我が主はじき、準備を整える!
 震えて待つがいい!」
 その兵士は震える声でそう男に視線をあげる。
 魔種イオニアス・フォン・オランジュベネの影響が低下したという話は聞いていた。
 そして、その影響下を僅かに脱した兵士が、イレギュラーズへ少しずつ情報を漏らしていることも、話に聞き及びつつある。
「準備だって? それは一体なんのだい?」
 風に煽られる外套を少しばかり抑えて見下ろせば、敵兵は鼻で笑う。
「決まっておろう! あの方の――」
 挑発に乗って出しかけた声を、ハッと我に返った兵士が閉ざす。

 颯爽と走り抜けたアルラトゥが境界線の向こう側へと消えていく。
『小さな騎兵』リトル・リリー(p3p000955)はその様子を見据えながらほっと一つ安堵に息を漏らす。
 幾数かの戦いを終えて、赤を基調とし黒の差し色を加えたフリルドレスをゆらりと風になびかせる。
 そんな彼女は、不意に足音を聞いた。ザッ、ザッ、ザッ――均等に歩むそれは、ばらつきつつも、どこかへ向けて静かに進んでいく、そんな音。
「よいしょ……」
 レブンに跨って、少しばかり顔を出して音の鳴る方を見る。
「……あれって」
 ぽつり、呟いた。普段であれば気付いてもらいたいと思って近寄る彼女も、それに近づこうと思わない。
 ――――だってあれば、今日まで、このオランジュベネで戦ってきた者達とは違う。
 あれは、そう。文字通り本物の軍勢だ。
 慌てて隠れた少女のことなど気づくよしもなく、軍勢はそのまま真っすぐに進んでいく。

『死を呼ぶドクター』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)がそれを見つけることが出来たのは半ば偶然であると言っていい。
 一つの町、いたちごっこのように現れた敵を炎で焼き払った後、ブラウベルク領へと帰還する旅路に置いてそれを見た。
「――――聞け! 誰がお前達をこの町に閉じ込めた! 流通と人の行き来を制限したのは誰だ!
 我が主は――憤っておられる。我らは、あの女を討ち果たす! 聞け!!
 おのが身の内にある、僅かなりし怒りに耳を傾けよ!」

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