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樹上の村

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街角の更新ログ

何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

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2019/9/7(2/3)

 国外と国内の事件が発生した時は流石に国内を優先しない訳にもゆかぬ。外に手を伸ばして足元が瓦解しては本末転倒である故に、ガブリエルはその手をラサや深緑から縮めなければならなかったのだ。ああなんたる事か……奴隷救出の動きを縮小とは――

「――折角、深緑との『交流起点』になると思ったのですが」

 実に、ああ実に『残念』である。
 深緑は閉鎖的な国家であり例外がラサだ。唯一の隣国でもあるラサとだけ緩やかな同盟が結ばれており……他の国々は、少なくとも国家間における大きな交流というのは無いと言っても過言に非ず。故に商人ギルドの繋がりから一早く情報に触れたガブリエルは動いた。
 囚われた幻想種の救出、並びに返還という『公然とした名分』によって深緑と接触する絶好の機会。ラサのディルクに幻想への輸送拠点を潰す協力を持ちかけつつ、水面下の見えにくい所では商人に『幻想は事態解決に協力的』なる情報を流す取引もしていた。幻想から深緑という直接の流れではなく、ラサから深緑。
『素知らぬ他人』の評価を上げるには見知った隣人からの言葉の方が『するり』と入る故に。
 ――詰まる所、遊楽伯爵は善意の範疇において政治的策略を仕掛けていたのだ。
 非道な扱いを受けている幻想種に心を痛めているのは事実であり。
 人身売買などという国内の不安定さを更に増す様な事を避けたいのも事実であり。
 別に、誰に嘘を付いた訳でも利だけを求めた訳でも無かったが――
 多くの事例がそうであるように、そしてガブリエルにとってみれば或る意味で不本意であるのだが――『政治とは唯美しいだけのものではない』。
「ままならないものです」
 頬杖をつきながら視線を落とす。そこに並ぶは己が調べた報告書の山々。
 ラサでの奴隷事件――その報告書。

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