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何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。

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2019/9/7(1/3)

遊楽伯爵の憂鬱

「――やってくれましたねイオニアス殿」
 吐息を一つ。ガブリエルは幻想、旧オランジュベネ領にて発生した騒動の報告を聞いて瞼を重くした。イオニアス・フォン・オランジュベネという幻想の貴族――いや『元貴族』という言葉の方が今や正しいが――ともあれ彼によって引き起こされた乱はひとまずの鎮静化を見せた。
 これも全てローレットのイレギュラーズ達による助力があってこそ、だが。
「しかしなんとも間の悪い……私にとっては些か不都合ですね」
 首魁たるイオニアスは逃れており、未だ諦めず暗躍する動きを見せている。
 態勢を立て直すつもりか……となれば未だ警戒は怠れまい。自らの領土にまで被害が飛び火する恐れがないとは言えない以上、イオニアスの動きには幻想貴族として注視する必要がありそうだ。
 一連の動向でイオニアスの能力に陰りが見えるのか、その姿が市井の民にまで露見したという情報もある。
 ならばすぐに更なる行動を起こしても不思議ではない。
 子細はテレーゼ・フォン・ブラウベルク(p3n000028)も掴んでいるに違いないのだが。

 ――しかしガブリエルが『不都合』と述べたのにはもう一つ理由がある。
 イオニアスの動きに、かなり重篤な事件が重なっているからでもあった。

「深緑における幻想種の誘拐事件……ふむ。
 こちらでもイレギュラーズの方々は活躍されているようですね」
 ザントマンなる存在によって引き起こされている誘拐事件。深緑の幻想種を対象としたその事件に、ガブリエルは大いに関心を抱いていたのだ。深緑から攫われラサを経由し各国へと……幻想も直接ではないにせよ売買先としての関連があるのならば。
「……………」
 ガブリエルの端正な――貴公子の顔に曇りと怒りが滲んでいた。
 人道的な怒りは然り。ノブレス・オブリージュを知らぬ男では無い。  更に個人的な理由を言うならば、美をこよなく愛する彼は、混沌の神の作り給うた『美しき幻想(ハーモニア)』を下卑た欲望で汚すその行為そのものに大変な憤慨を抱いていた。
 捨て置けぬ。己の手が届く限り幻想種を救ってみせよう、そう決意するのも当然であった。
(しかし、一筋縄ではいかないでしょうね)  ……されど、自身の力はイオニアスの事件により優先的に割かなければならないのは明白である。

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